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ダルディは直ぐ様我に帰った。


この凛として勇ましさと独自の美しさを醸し出す女性の声を聞き逃す筈はなかった。



「―――姉様!」



正式な騎士団のコートを身に纏い、四番隊を指揮する紅一点の存在《ネイティス・リアード》は真っ直ぐと伸びた綺麗な桃色の髪を横に靡かせながら、少し怒った顔つきで弟のダルディを見据えた。



「また…職権乱用したのね貴方は」

「――……なんのこと?」


ダルディはヒヤリとしたものを背筋に感じながらもぎこちない笑顔でとぼけてみせる。


「誤魔化そうなんて無駄よ。只でさえ貴方の存在は目立つんだから。あのねぇ、嫌でも貴方の行動全てが、私の耳に入るのよっ!」

「……うう…ごめんなさい…」

ダルディは観念したように肩をがっくりと落とした。


「で、素性も見知らぬ御嬢さんを何処に連れていったのかしら?」

「……集中治療室だよ」

「またお節介して…」


ネイティスは思わず頭を抱えた。

弟の長所は困っている人を放ってはおけないところにあるが、それもまた短所に繋がってしまうのが苦しい所だ。


素性も知れぬ得たいも知れぬ人物を連れ込むなどもっての他である。

保証もないのだから敵の可能性だって十分にあり得る筈なのに。

しかし、ダルディはあろう事にも自分の立場が高いことを利用して、無理矢理入国許可を出してしまったのだ。


問題が起きてからでは遅いというのに考えが甘すぎる。


「なに?そんなに貴方にとって大切な子なの?」

「……よくわからないけど、僕はチアキの味方でいなきゃって思っちゃうんだ…」


ダルディは困ったように頬をポリポリとかく。


「チアキって言うのその御嬢さんは」

「うん、そうだよ。」

「怪我の理由はわかってるの?」

「察しはついてる」



ダルディは即答した。






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あきゅろす。
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