14 日に日に外に行くことの願望が強さを増し、私はそれを実行することに決めたことが異世界へ旅立つきっかけだった。 そうだ、外の世界に行こう。 こっそり私の部屋の鍵を母からくすねると、両親が出掛ける日までバレぬよう本にはさんで隠した。 母は出掛ける時決まって私を部屋に閉じ込めた。 勝手に外に行かないよう窓にも柵を設け、鳥籠のように私を閉じ込めていた。 しかしその日は捕った鍵を使って部屋からでると急いで外へと脱兎の如く飛び出した。 天気は晴れ。 ガラス越しから見る青空よりも自分の目で見上げる青空は何倍も輝いて、また眩しく感じた。 澄んだ青すぎる空。 姉はこんな広い世界をきっとどこへだって羽ばたいて行けるんだろう。 今は劣等感云々よりも姉に見せてあげたいくらいの青さに私は心を踊らせていた。 また久々に肺に入れた外の空気は家の何倍も気持ちがよかった。 爽やかで穏やかで、こんなにも心を落ち着かせたり、また弾ませる。 開放感に浸り、馬鹿みたいにはしゃいで、道端を一人かけっこしたりして遊んでいたら、そこで見つけた小さなボールを手に取ってみた。 少し泥だらけだけれど、空気はちゃんと入っているからよくバウンドし十分に遊べる。 今だけ。 今だけ借りてしまおう。 ボールと似た大きさのお手頃そうな石を拾い上げると、昔姉に教わったお手玉の様な遊びを始めてみた。 やっぱり上手く出来ず、すぐ転がっていってしまう。 もう一度と拾い上げ、チャレンジを試みる。 さっきよりも下手くそで一発目からボールを落としてしまった。 勢いをつけすぎたみたい。 こんな子供染みた遊びに熱中する自分に思わずくすくす笑いを溢しながら取りに向かうと。 プップー!! 急に時間が止まったかのようだった。 キキイイイーーィーッッ!! 車のクラクションの音と急ブレーキが聞こえ、私は意識を失った。 [*前][次#] [戻る] |