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「大丈夫か…」
チアキは動かない。
最初は距離をとってチアキの様子を眺めているだけにしようと思ったのだが、動かない影がだんだん心配になって、アオイはチアキのすぐそばでしゃがみこんだ。
そして深い切り傷を見て、溜息をつく。
自分の服の一部を切ると、きゅっと、止血のために結んでやる。
なんで…
なんで、ここまでお前はするんだよ。
自分では気付かなかったが、この時俺はひどく悲しそうな表情をしていた。
*
「ねぇーチアキっ」
「何?お姉ちゃん」
「私達さ、本当いい名前貰ったよね!ね、ね、そう思わない?」
「え?何で急にそんなこと思ったの?」
「わかんないけどなんとなく。なんとなく浮かんだから言ってみただけ」
「変なの…」
「うるさいなぁー。ま、でもやっぱりこの二人の名前は私好きだなぁ…」
姉は紙に二人の名前を書いて、そして嬉しそうに紙を持ち上げ言う。
「幾千をも羽ばたく鶴。千鶴。
そしてあんたの名前は…『 』」
胸の奥深くにしまっていた
遠い遠い思い出。
鮮明に浮かぶ彼女の姿。
でもその声は、私はもう思い出せない。
その続きが思い出せない。
ねぇ、
はっきりいってくれないと
聞こえない、
聞こえないよ『千鶴』
「私が『千鶴』であんたが『 』。私が『鳥』ならあんたはきっと『 』なんだね!」
私の名前、どうかもう一度思い出させて…。
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