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15


見覚えのない景色。


私が次に意識を取り戻したときは森の深い場所だった。


――………?


目の前には知らぬ男の人が立っていて、私に突然話し掛ける。


『お嬢ちゃん、見掛けない顔だね……?迷子かい?』


迷子……。

首をよこに傾げた。
ある意味そうなのかもしれない。

男は私の困ったような顔に微笑み、森の出口までなら案内するよと答えてくれた。


私は顔を明るくさせ喜んで首を縦に頷かせた。


空の色はすっかり日が落ち、闇が侵食する頃にまで進んでいた。

早く帰らなくては両親がどんなに心配させてしまうことになるだろうか。

その事もあって私は男に素直に付いて行ってしまった。





――また牢屋に閉じ込められてしまうことも知らずに。





「また、来た」

「可哀想…」

「そうだね」



本当に渇いた言葉のやり取りであった。


地下牢に連れて来られたと思ったら私以外にも女の子達が何人か疲れはてた顔で、死んだような顔でこんにちは。と向かいいれてくれた。



でも初めはまだよかった。


疲労と恐怖が積もる中、互いに皆励まし合い、力を合わせ、渇く喉をならしながら希望を夢見ていたから。



まだ皆が皆、出れると信じていたから。





しかし極めて少ないまだ体力の残っていた子達が団結し男に反抗し、暴れまわった事件を起こしたが失敗に終わったときのあの結末はいきる気力を削がれた。


男は自分の仲間を連れて反逆した女の子達を地下牢からどこか知らない場所に連れていくと誰一人牢屋へと帰す事はなかったのだ。

男は彼女達に何をしたのかどうなったのか語らない。


それでも皆はすぐに理解出来た。






あの子達はこの世にはいないのだと。




それからはまさに生き地獄だった。




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あきゅろす。
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