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「生きてる、か…とんでもねぇ、化けものがいたもんだな」


自分のやった後をふらつく体を持ち上げて振り返えり、自分を嘲笑った。

距離もなかったはずなのに、無理やり風を集めて放った力は河を削って地形を大きくゆがませている。上から眺めていた館の主は驚いて腰を抜かしているのだろうなと想像してしまった。


「っ……はぁ……」


力の代償で自分の胸の奥が喰いちぎられた様に痛むはずだが、今回は記憶を飛ばすことなく、意識もこうやって保っていられている。
少し不思議だなと思いながらも、胸に抱えたチアキに視線を移してみる。


「………」


まだ意識はない。
でも体はすっかり冷え切っている。


「おい、チビ…おいチビ…!」


しかし、彼女は目を開かない。

アオイはしばらく考えながらも彼女の体をいたわるように優しく持ち上げると、崖の山に向かって風を集めて空砲を放つ。
簡素なつくりのほら穴をつくるとその中に入ってチアキを寝かした。


「……っち、バカが」


これ以上体を冷やさぬよう、チアキに自分の上着を脱いでかけてやる。
館の男に売り渡したせいで、チアキの格好はかなり乱れていた。風邪をひいてしまうのかもしれない、と思った。

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あきゅろす。
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