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よくわからなかった。無性に苛ついた。

でもそこでどんなにひどい目にあわせたとしても、あのちび女は静かに耐えていた。


最初は別に何とも感じないやつなんだと思っていた。


なら、このぐらい耐えられるだろ?


自分はそう言って、いつも苛つけばチビに手を下していた。あいつは他人にすがることはしない。できない。それを俺は知っている。
だから俺が殴っても、蹴っても髪を乱暴に引っ張っても、あいつは黙って耐えるしかない。

いいサンドバックだった。最高のストレスの発散どころだった。


でも。


「わけわかんねぇ…!」


それでもチビ女は俺の言うことを聞き続ける。
傍から離れようとはしない。

殴ったって、蹴ったって、結局俺は苛立ちを拭い去れるどころか後味が更に増していく一方だった。これでは意味がない。


わからない。理解できない。

奴はめげる事もなく、全てが無駄な努力とわかっているはずなのに、それでも俺と一緒にいたいがためにどんな難題でもやるつもりなんだって俺は知っていた。


余計にわからない。わかりたくもない。

何故それほどに俺に執着する?

はっきり言って気色が悪い。

俺はお前をこれっぽっちも覚えていない。記憶にもない。誰だなんて知る必要だってないんだ。


それなのに、お前は何故俺の視界に入って来ようとするんだ?

無駄なんだ。

俺はお前の事なんか知らねえんだよ。



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