花園・風紀委員!
腹黒
「先パイ、なんて?」
美鶴が、心配そうに聞いてくる。
「ちょっと待てって」
閉じた折り畳み式のケータイを玩びながらこたえる。
…アオ怒ってるだろーな…。
一応先に言っとくか。
「なぁ」
「え、何?」
…ちょっと俯いてる間に、何お前らいちゃついてんだ。
灰が美鶴を抱き寄せて、肩口に顔を埋めてる。
美鶴がくすぐったそうにしてるから、舐めてるかキスマークつけてるかだろう。
「…1人、先パイたぶん毒舌だから」
「え…誰?」
「…………葵李先パイ」
「「………」」
聞き返したのは美鶴だったが、灰まで押し黙った。
だがオレには、それをつっこむ余裕がなかった。
『――――――』
耳に残る、透き通るような声。
瞼に浮かぶ、キレイな金色。
ケータイを弄っていた手を止めて、ふつりと押し黙ったオレを見て、2人が居づらそうにしてたに気付いたオレは、
「あの先パイ、腹黒だから」
話をムリヤリ戻した。
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