花園・風紀委員!
呼び方
「…何か用か?」
ドアは、こぶし2つ分ぐらいしか開けられず、緋蓮の顔はよく見えない。
「あんた、特待生だよな?」
「…そうだけど」
頬がゆるまないようにするのが精一杯だ。
「俺、沼屋。沼屋壱。壱って呼んでくれ。同室者どうし、仲よく「セフレのゴタゴタに巻き込まれんのゴメンだから断る」
一瞬、耳を疑った。
最初話した時、入学式に一度、二言三言交わしただけ。だから、殆ど他人の俺がこんなこと思うのはおかしいかもしれないが…。
彼は、こんなに感情の入らない話し方をする人だったろうか…?
「用はそれだけか?じゃあな」
そう言って、大きく開いているわけじゃない扉を閉めようとする。
「待ってくれ、ひ…更科!!」
友人との会話に出すときは名前呼びだったため、名前で呼びそうになったが寸前でとめた。
「俺、お前と仲良くなりたいんだよ。頼む!」
あからさまにしかめられる顔。
…断られるか?
そう思った俺の予想と、緋蓮のこたえは違っていた。
「…部屋のなかでなら仲良くしてやる。学校とかでは始業式終わるまで待ってろ」
「…始業式?」
「そう、始業式。じゃ、オレはこ「もう一つ」
今度は俺が、遮った。
「…何だよ」
「名前で、呼んでいいか?」
数瞬の間。
「ハァ…しょうがない。わかったよ」
仕方なく、といった顔だ。
だが俺は嬉しくて、頬が緩むのを堪えられなかった。
「俺のことも、名前で呼んでくれ。じゃあな!!!」
緋蓮の返事も待たず、俺は自室に引っ込んだ。
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