花園・風紀委員!
沼屋壱
――side壱
高等部になって編入してきたアイツに、周囲は“ハズレ”だて言って見向きもしなかった。
だが、俺は違った。
一般的な日本人のように、黒い髪に黒い瞳。そして縁なしのメガネ。
前髪が長めで顔が見えにくく誤解されていた。だがひょんなことで近くで見る機会があった俺は…。
こういうのが恐らく、一目惚れというんだろう。
その時近くにいた俺の友人は、何度かセフレや親衛隊の目を盗んで話しかけているようだった。
だが俺は、そういうのは出来なかった。
俺自身が、目立ってしまうからだ。
だから俺は、同室者でもあった友人に緋蓮のいろんな事をきいた。
…と言っても名前の読み方、誕生日、血液型。それぐらいだ。
それ以上は、どうしても教えてくれないらしい。
…だがそれだけで、俺は少し満たされた。
俺は初々しい中学生か!!とつっこみたくなるがしょうがない。事実だからな。
だから俺は、見るだけでよかったんだ。部屋も幸い近くで、ほぼ毎日見れた(友人にはキモがられた)。
だが去年の10月、パッタリ緋蓮を見なくなった。
どうしたのかと思いエレベータで待ち伏せしていると(ストーカーみたいだな…)、のぼってきた緋蓮は、彼の部屋に向かわず逆側の廊下へ進み、角になっている突き当たりを曲がっていった。
驚いた俺と友人が追うと、誰も使う必要のないハズの予備部屋へ入っていった。
部屋がかわったことは不思議だったが、取り敢えず何事もなさそうで俺達は安心した。
そうしてうだうだしている内に、3学期の終業式が終わり寮の部屋替えだ。
部屋替えなんてメンドイ…。そう思って8階に着き、ネームプレートを見た途端、急いでカードキーを取り出した。
ピピッ
極小さな音が鳴り響く。
緊張しているのに、体はいつも通り動く。
リビングの中央に立ち、暫く迷って
コンコン
右側のドアをノックした。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!