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危険性のある後輩


他学年合同演習中にふと仲間の人数が足りない。
必死に気配を探すと敵の中に一人立ち込めている後輩の姿だが敵は全く気づいていなかった。
そして感情のない目で毒を仕込んであるであろう針を掠め何事もなかったかのように戻ってきていた。
しばらくすると敵はひとりまたひとりと倒れていった。



コイツは危険だ。殺しておいて何も感じないのか。



ひとつ下の奴に恐れを感じるとは俺もまだまだだな。
それは人を暗殺したこいつへの恐れなのか殺しを恐れないこいつへの恐れかは分からない。だがまだ興奮している頭で考えきれるはずもなく俺は帰還することだけを頭に置いた。



だが学園に帰還し体を清めていると俺達の会話を外から眺めるアイツがいた。
何を考えているのかはたまた何も感じていないのか俺は殺しにより燃え上がっていた何ともいえない興奮が冷めてきた。そしてある考えが頭をよぎる。



コイツは殺すことに悦びを感じているのではないかと。
俺は先程感じていた恐怖を改めて痛感した。



俺は見たじゃないか、人をなんの遠慮もなく死へ追い込むこいつの姿を…俺は清め終わって去っていく後輩をふと追いかけた。クナイを持って。



「名前」

「…?あぁ先輩」



4年長屋に近づくとあの後輩は七松先輩に捕まっていた。



あの後輩は七松先輩と仲がよかったのか。あの野性的に鋭い彼に彼の狂気が気づかれないはずがない。俺は安堵の息を漏らした。



そして俺の気配に気づいていないのかふたりは会話しはじめた。



「なぜいつも外から見るだけなんだ?」

「また、その質問ですか?」



またって…いったい…



「私は何度だってする。私の望んだ答えが帰ってくるまで。」

「………」

「名前」

「…平を俺に近づけているのも貴方ですか」

「?」

「俺は一人でいいんです。平が近づくのも貴方が私に近づくのも俺は望んでなんかいません。先入観に捕われた客観視程あやふやなものはないんですから。」

「だが!」

「あなたはそんなに俺が嫌いなんですか。客観視のできない俺はこの学園から必要となくなるんです。」



あの暴君七松先輩が黙るなんて…それにあれどっかで聞いた台詞だなぁ…



「太陽に近づき過ぎたら死んでしまうんですよ」



消え際にそう言った彼の気配を俺は追えなかった。俺の方が先輩なのにだ。



にしても彼の最後の一言はどういう意味だったんだろうか。それに聞いたことのあるあの台詞…誰が言ってたっけ?



………ぐあぁあ!分かんねぇ!!
あとで兵助にでも聞いてみるか…



聞いたことのある言葉



(この学園から必要なくなる)(どうしたの竹谷)(そう言ったの誰だっけ?)(三郎だろ?)(……あぁ!さすが兵助!)


あきゅろす。
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