危うい同級生と私
私の同級生の名字名前は危うい存在だ。
名字自体が危うい訳ではない。ただ彼を見ていると時々消えるから。存在が。そこにあるような気がするのだがない。ふと姿が見当たらないのだ。彼はどこに行ったのか。それを周りが気づくのだって遅い。
とは言っても私がそれに気づいたのはつい最近。委員の先輩が名字を気にしていたからだ。
先輩に言われなきゃ私だって気づかないでいた。
でも最近自分でも分かるようになってきた。そうなるととことん気になるのが意外と世話好きの自分の定めというのか
「名字実習私達で組まないか?」
私はグループで行う実習で誰とも話していなかった名字を自分のグループに誘う。名字を入れると6人組になり戦場で動くにはキツくはなるがグループが組めずにひとりで戦場に向かうよりはマシだ。私はそう考えたからだ。
だが名字は確実に聞こえているにも関わらずスッと消えていってしまった。
「名字!どこに行った!」
私は叫ぶがみんなはあははと笑った。
「まぁまぁ…」
「滝夜叉丸落ち着きなよ」
「だが!」
「別に断られてもええやんけ」
「そうだそうだ!今の時点で前衛は居るんだしさ」
確かに名字は暗器なので前衛だが前衛は肉弾戦に自信のある下宮と体術の得意な瀬古に決定している。
ちなみに私はこの中では1番実力があるのでリーダーでブービートラップを仕掛ける喜八郎と陣を守る。
しかし後衛担当である呪術に秀でた林田がボソリと呟く。
「でもアイツいつも誰と組んでるんだ…?」
そういえばそうだ。今は私が誘ったが大体組む奴は決まってるし誘っているところも誘われているところも見たことがない。
「まぁ放っておけばいいんじゃん?」
「遅刻してまうって」
「減点されたら滝夜叉丸のせーい」
「…たまにはされてしまえ」
「聞こえてるぞ林田」
私達はいつものように門を出た。
気掛かりだけを置いて
(一人…独り…)(君のひとりは)(いったいどっちなのか)
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