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さぁ素直に認めろ


爪が肌を傷つけ血が滲みだした頃先輩はいつもの図書委員の先輩の仮面姿に戻った。



「負けを認めろ名字。すべては私の手中にある。」

「誰が…っ」



俺は負けを決めつけられ睨みつけると先輩は静かに俺に近づいてきた。そして俺の血が出ている手を持ち上げた。



「お前が弱みをみしたって誰もお前をこの学園から追い出そうとなんかしない。お前にはそれだけの価値があるんだよ。」



いきなり優しい言葉をかけられ俺は心が揺るぐ。



特待として迎え入れられた俺。
俺の特待の最低条件は気配を溶け込ませることでみんなに気配を悟られないこと。そして絶対卒業し随一戦場の様子を学園に入れること。
簡単にいえば俺は将来この学園の密偵となり演習などを組めるか判断する立場になるのだ。だが俺にこのほかに価値なんてない。

信頼するものを雇う。

そのために俺はこの学園に買われたのだから。



「名字」

「なんですか」

「この世界はな何か理由をつけなきゃやりきれないんだ。」



例えば学園長だってそんなこと言ってお金を使い人間をひとり助けているんだ。
生きる術を習わせ犬死にしそうだったのモノを使う。
死に物狂いだった奴はこの世界で十分にやっていける精神を持っているからな。



そう言われて俺は学園長が俺の母親と話している姿を思い出す。



母親にお金を渡し手を学園長にひかれる俺。
その時学園長ははっきりこう言った。
「わしがお前が生きる道を先導してやろう」と。



「学園長はお前を生かすためにここに置いたんだ。お前に課せられている指名は生きるという指名だけだ。」



俺の価値



(自分自身を客観視する)(傍観できなくなった俺には)(一体何が残る?)


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