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短篇
装うの10
「っひ、っひぃぃんっ!?っご、お、や、っふやぁぁぁぁあっ!?」
「バッチリ締め付けて来やがってっ……身体が無い癖にケツの具合だけ抜群だな、おいっ!」
「や、あぁぁ……分からない……ぃ……も、っひ、奥、までぐりぐりされるの……良いのぉぉっ……!」

声色の甘ったるさに、どれだけ吐息を吐き出そうともその目元には涙の一滴も流れはしなかったが。
それでも肉の締め付け、二本の竿を纏めて挿入して歪んでしまった腹、まるで肉棒で温められていくかの様に熱気を孕み始める感覚に思わず身震いしてしまう。
蜥蜴人は随分と調子良く、或いはあらかじめこんな事に関して全体的に手慣れてもしているのだろうか、蜥蜴人の手元で踊る包帯がきっちりと人間の身体に絡み付く。
どれだけ激しい行為を繰り出したとしても決して離れない程に、四肢から腰にまで丁寧に包帯が絡み付いた。

結合は深めたままなのと合わさって、人間の身体は強制的に抱き着く形になる。
汗ばみもしていない布地は、完全に巻き取ったとしてもさらさらとした実感を与えてくれている。
密着した上で汗ばんでいるのも熱気を孕んでいるのもどちらにしても蜥蜴人側の方が熱く、むしろ人間に触れる程にひやりとした感触が返って来るのが分かる。
今まで気づきもしなかったのが不思議なぐらいに。

「っは、そんなにエロくてやらしい格好と顔してんだ、気付かなくたって別に良いからなぁ……おら、ほらっっ!」

蜥蜴人自身の感情や反応としては、そんな一言と共に荒々しく人間の身体を纏めて揺さぶる腰使いだけで十分だった。
細かな突起から血管の滾りに至るまで全てが規格外の肉槍が纏めて尻穴の中へと押し入り、完全に根元まで挿入したならば上下に、または左右にぐば、と大きく開くかの様な刺激を与えて来る。
人間の身体は好きに抱き着き、悶えながらも決して苦しむ様子はない。ぼこぼこと身体の奥底、結腸の類すら完全に抉られてしまっているのに。
知人に見られながら、既に死んだ存在そのものを嬲られているのに。

「ひっ、ひぁぁぁあぁぁ!?」
「おぉっ……?っへへ、やっと調子も出て来たなぁ……でも俺の腹ぁ汚しやがったのは、きっちり仕置きしてやんねぇとなぁ!」

包帯に包まれた腹筋に擦り上げられていた人間の竿から、殆ど透明ながらも精液の入り混じった潮が噴き出していく。
じわりと熱気を帯びた感触、着実に蜥蜴人によって叩き付けられていた精気が人間に伝わっていく実感。腰使いは激しさを増し、包帯に包まれた中でも空気が押し出される激しい音が何度も響き渡っていく。

「……っあ……あいつ、どうなってるんっ……って、っごっ……俺だってどうなるんだよぉっ!」
「君は暫く付き合って貰ってるだけだねぇ……大丈夫だよ、ちゃんと可愛がってあげるし、帰ってもまた来ても構わないけれどもさぁ……」
「彼がこの後どうするのかは彼次第です……魂で受け止めてどうなるのかもね」

「よぉっし、中までぎゅうぎゅう締め付けてきやがって……ほら、纏めて……出してやっからなぁっ、っうぉぉぉぉっ!!」

がたがたと店内の小物すらも震える程の声色と、ばちん、と音を立てて再び根元まで完全に飲み込まされたのが端から見ても分かる挿入。
同時に弾ける肉槍の先端から同時に射精が始まり、猛然とした勢いで膨れ上がる腹に割れた腹筋が密着していく。胎内に注ぎ込まれたのは精神の中、人間に残っている魂そのものを文字通り犯され、種を注がれる存在。

「ひ、ひゃ、あ……っぉ、ぉぉぉぉぉぉ……!?」

少なくとも前立腺を抉り抜かれる快楽と共に、魂そのもの、人間の全てが満たされる実感すらも沸き上がっている事だろう。
そこまでやって漸く人間の身体は汗と共に潮までも噴き出しながら、心臓の音を刻み始めたのだから。

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