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食事後の
「ああいう即効性の高くて相手に吹き付けるタイプの媚薬は、
基本飲ませたりするものより効果が持続する時間が短くてね……」
「……僕が吹き付けられた時点で、それ知ってました?」
「勿論。使用経験からするに、五分は続かなかったんじゃないかな…」
「へえ…」

椀の中身を全て食べ終えて、カップに残っていた水を全て飲み干し、箸を置く。「御馳走様でした。」
「はい、どうも。今日買った香辛料を早速使わせて貰ったよ……」
空の食器を乗せた盆を持って部屋の外へ出ていくフーガさん。

魔法陣の続きを描く気も起こらないので、自分もベッドから出てその後を追った。



「おそよーさん……」
「…おそよう御座います。」
所長がだらしない姿で椅子に座り、琥珀色の液体をだらしなく啜っている。

時折本当に所長なのか疑う事もあるが、これがデフォルトのようだ。
後はレザラクさんが分厚い本を読んでいる。
フーガさんは洗い物。何人かは見えないが、何時もの便利屋の光景な筈。

「………ん?」

肩を軽く二回叩かれ、振り返ってみれば垂れ耳の茶兎が此方に遠い目を向けている。
そして鍛練場の方へと足を進めていった……

「……フーガさん、ひょっとして『全部』話しました…?」

「大丈夫だサイ。誰も引いてなんかいないし、現に気持ち良かったんだろ?」

にやけながら所長がそう答えた。



「やあロッシュ、ちょっと頼みたい事が…」
鍛練場に来てみると、ロッシュが器具置き場から何やら人形を取り出していた。
「言いたい事は解ってる……『動いている人への射撃練習』でしょ?」
「……もしかしてロッシュも「急いで練習しようか!時間は待ってくれないよ!」
何やらボタンらしき部分を押すと、人形に魂が吹き込まれたように動き出す。
立ち上がって横に側転をしたり、身を低くして転がったりと当てにくそうな動きだ。
「相手の癖を見切って、それを読んで撃つ!やってみて!」
あくまで練習として、憂さ晴らしも含めて自分は銃を手に取り、人形に狙いを定め、撃った。 、第一昼寝をした記憶が無い。

「………」
全てが夢という事で済ませられはしないだろう。
現にあの時の感触もいやに生々しく覚えているし、服の匂いを嗅いでも爽やかな洗い立ての匂いがする。

恐らく自分は最後に意識を失った、もとい飛んでしまった。
それに気付いたフーガさんが色々と事後処理をしてくれたに違いない。
そう解釈するのが妥当。その他の異論は一切受け付けない。あの鼠人が手伝ったのでは……あり得るかもしれない。

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