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噴霧後のシューティング
怪しそうな液体を少しだけ吸い込んでしまった。

だけれども、人は学習する生き物である。

「ッ………」

咄嗟に息を止め、吹き付けられた液体をこれ以上吸い込まないようにして、

「…へへへ…お前はもう少ししたらアチコチが熱くな…」

ぱん。

「…へ…うわぁぁっ!?」


何となく銃を持ってきておいて良かった。息を止めながら両手でしっかりと保持、
まずは狼人の右脛に一発。
近さもあって見事に命中。驚きと痛みからかがんで足を押さえている。

問題は次からだ。銃声が響いたからすぐにフーガさん達が来る。
狼人は加害者。自分は被害者。やるだけやっても何の問題も無い筈だ。

立ち上がってソファーの背もたれを飛び越し、扉に向かって走る。
……息を止めながらだからかなり辛い。でも服にも液体は掛かっているから…

「…ぐ…テメェェェェアガァッ!?」

まさに獣のように吠える狼人の足元へ、連射。
小気味良い破裂音が数度店内へ響いて、
小さめの鉛玉は狼人の両脛と右肩に命中したようだ。…苦しい。顔が赤くなってないか心配だ。


「……サイ君!」
「お客さん、一体何が…」

二人が来たのと狼人がその場に倒れたのを確認し、扉を開けて…眩しい。
上着を脱いでばったばったと振って地面に置き、其処から離れて存分に空気を吸い込む。

吹き付けられたような甘い香りは、一切しなかった。

「サイ君っ!…この人は…?」
「商品…あぁ血が絨毯に……」

存分に息を深く吸い込んで、長く吐き出す。そうしていると次第に落ち着いてきた。
再び店内へと入る。店員の言う通り狼人の血が絨毯に染み込んでいる。
悪い事をした。麻酔弾でも用意しようか…

「……何があったの?」
フーガさんが笑い顔でなく、興味を持ったような表情で自分に問い掛けてくる。
「えーと……その狼人に襲われかけましてね…」
「…それで反撃したのか…ところで何をされたの?」
「何か変な甘い臭いの液体を吹き付けられまして……」

あれ。

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