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降下後のシャイニング
抱き方に気を取られて、空爽快さや人を見下す快感をあまり得られぬまま地面に下ろされる。

「っ……と…何で…お姫様抱きを…?」
地面を上手く踏み締められなくてよろけてしまう。
やっぱり人間は歩くのが一番という事だろうか。

「一番支えやすい抱き方だから…かな。次点でサイ君が小さくて持ちやすいから」
「……お目当ての店は?」
抱き方についてはここで終わろう。随分と不毛な会話になる予感がする。

「恥ずかしがらなくていいのに…えーと、少し歩くよ。」
「はあ……」
降り立った場所はどうみても『裏路地』のように呼ばれる、
人気の少ないある事に関しては非常にオープンそうな場所。
既にその手の『宿屋』がちらほら見える。
まだ日も落ちてないのに、部屋に明かりが灯って……とてもげんなりする。




「こんなに目が痛い光景、滅多に見られないでしょうね…」
「あ、この店だよ。品揃えがすごいんだ。」
10万何とかの景色やら100万なんたらの笑顔やらそういう煽りは見た事があるけど、
まさかそんな煽り文がぴったりな店が見つかるとは、世の中も捨てたものでは…捨てたいな。
日中だというのにどぎつい色で光を放つ看板は周りにも幾つか見える。
その『薬屋』はそんなレベルではない。
大きさは隣の『宿屋』か、『そんな店』とさほど変わりないが、
壁全面に銀色の鏡がびっちりと張ってあり、
更に魔法か何かで鏡自体から光が放たれていて、眩し云々という問題では無い。
目立ちたい一心でこんな事になってしまったのか、
実に悪い方向にセンスが突き抜けている。
真後ろを見ると黒々とした影が。正直近付きたくもない。

「行こう、サイ君。早くしないと通りすがりにカップルと間違われて……」
「……せめて内装は普通でありますように」

扉の前まで来ると目も開けていられない。
中に入ったらまず店長にクレームを言いたい。
内装まで同じようだったらお手上げだけど。

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あきゅろす。
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