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覚悟後のショッピング
待たせるわけにもいかないのでドアノブに手を掛ける。

……覚悟OK、少々余計に力を込めてドアを開けて

「…………」

ドアの前の光景の予想はしていたけど、想定の範囲をぎりぎり越えていた。
言葉が出ない、まさに絶句、何だこの裸の変態、ああなんだ体毛と同じ色の…って何故仁王立ち?

「サイ君、頼みたい事があるんだけど……」
「…っ…えっ…?」

服を買いたい、とかそういう頼みなのだろうか、それともここで自分は襲われる…?
拳銃を持っておけば良かった。ベッドの下から取り出して吊っていたなら…

「……買い物に付き合ってくれない?」


「…こうやって歩いてると、デートみたいだね。」
「…………」
町中を歩いていて、横手には柔らかな笑みを向けるフーガさんが。
単なる買い物に付き合わされるのは良しとしよう。抜き撃ちの練習だけでもアレだし。

……しかしながら、どうしても違和感を拭い去ることが出来ない。

フーガさんが普通に服を着ているなんて……
それが文化人として有るべき姿だというのは分かる。
だけど一月近くもほぼ全裸だったし週に一回くらいは夜のお誘いをしてきた(全て断った)。
そんな野生を貫いてるようなフーガさんが…いや、今日は気にしないでおこう。
「……で、何を買うんですか?」
「調味料をね。切れちゃったのがあるから…」
そう言えば昨日の夕食は少し味気無かった。
「……と、薬かな?特に精力剤、媚薬用の…」

…やっぱり断った方が自分の身のためになったのではないか……
今更言ったって、逃げられはしないけど。



「いらっしゃい…」
「相変わらずな所だ……品揃えは良いけどね。」
感じの悪い店長らしき人の低い声が狭めの店内に響く。

独特な香りが目に染みる。埃っぽくて若干鼻もむずむずする。

ここは何屋?もしかしたら危ない薬でも売っていたり……ああ、媚薬の素を売っているのか。道理で
「…岩塩か粗塩か……両方買っちゃおう。」

…………

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あきゅろす。
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