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起床後のインパクト
後何日かで自分が此処に来てから一月経つ日の朝。
寝ぼけた頭を覚ますためにミントティーを啜る。

「サイ君宛に手紙が来てるよ。」
「どれどれ…」
手渡されたありがちな茶色い便箋の封を開き、中を見てみると
『ストレート合格。ざまあみろ。』

と金釘流で見事に走り書かれたノートか何かの切れ端が入っていた。

「何それ……嫌がらせ?」
ざく切りにされた温野菜に塩をかけて食べていたロッシュが手紙を覗き込む。

「いや、ぎりぎり友達と言える狐の報告。そうか、合格か……」

これで向こうも憲兵の仲間入りか。
偉い身分の先輩方にも平然と毒を吐く狐の姿が目に浮かぶ。
いやもう何発か良い打撃をくれてやっているかもしれないな。
ラーツは自分の中の正義に最も忠実に行動するから。

「その人ってどんな人だい?」
「…えー、自分より背が高い狐人で、所謂肉体派の、頭が悪いと言うか……」
「あぁ、ヤクトみたいな人だね。性格は?」
「結構下ネタを言ったりしてた?」

「あの、便利屋を見下していて、えー、相当な毒舌…下ネタじゃなくて、
いや、たまには言ってたかな、蔑ませるために」

「虫でも飛んでるのかい?やけにキョロキョロしてるけど…」

「何でしょうね…飛蚊症かもしれないかな…」


実際虫はいないし、
自分は飛蚊症ではない。
目のやり場にひたすら困っているだけだ。カウンターを真っ直ぐ見ることが出来ない。
正確にはカウンターにいる鳥人が、その……

今までは下着は身に付けていた、だが今日は違った。悪い方向に。
……全裸である。朝起きたら普通に全裸だった。
いつもならブーメランパンツだかを履いていたのに…
ロッシュは見て見ぬふり。もしくは慣れきっている?
慣れているならフーガさんは常々全裸ということになる。ああ、あの時断っておけば……

「ん……目は悪くなさそうだけど…」
「………!?」
いつの間にか目をじっと覗かれていた。
鋭い眼光と嘴やらふさふさした胸元やらが近い。目線を下げたらちょうど股間が……


……体毛と同じ色のTバックか…良かった、服を着ていて。


嗚呼、慣れとはなんと恐ろしいものだろうか。

[ネクスト#]

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あきゅろす。
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