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回避、鉄塊撃破、円滑
間近で銃弾を然るべき道具、例えば拳銃や機関銃を使って撃たれてしまえば、掠り傷以外は大体結構な怪我を負う。亜音速で、もしくは音速より速い金属製の弾丸は肉も骨も容赦無く貫く。
一発で命すら奪える可能性が高い。あの戦闘機に据え付けられる大きさならば身体すら引き千切られる事すら有り得る。あくまで弾丸が命中すればの話だが。
ストリータ・ヘキサルはそういう体質だった。何故か彼目掛けて石を投げ付けても一つも当たる物は無かった。棒を振り上げてみても身体を透かした様に手応えは無く地面を叩いて居た。更には隙間さえ有れば大体の扉は通り抜けられ、手錠すら両手を下に向ければするりと落ちる。
当たって居ない。機銃の連射を浴びる気配すら彼は見せて居ないのだ。空中に留まりながら短刀を振り翳す。何を斬っても良い様に造られた分厚い刃。肉やら魚、人体は勿論石すらも叩き割る事が可能。やり方によっては鉄さえも。

『…ひゃっほぉぉぉぉっ!そこの戦闘機といちゃついてる国際指名手配犯!腕を固めて押さえ付けるから大人しく佇んで…あれぇっ!?』

其処に愉快さすら感じる声と共に飛んで来た異様な姿の。先程立ち会ったばかりのシューゴが装甲服を身に纏いやって来て居た。恐らくは初めての実践投入だろう。レンカさんの技術が身を結んだ瞬間。
は、残念にも思うがもう少し先になりそうである。装甲服が首に巻いて居る紅色のマフラーは自分からの贈り物。動力源の関係で自分の物よりかは劣るが、それでも移動には十二分の性能を持たせた筈だ。一手遅かったが。
ストリータ・ヘキサルは戦闘機の上に平然と組み付いて居た。ナイフを深々と動力部に突き刺して引き抜き終えて居る。黒煙が立ち上り始める戦闘機から優雅に飛び降りて。

『ちょちょちょっ、待ったってっぬわぁぁぁっ』
『にゃにゃっにゃにゃっちょっにゃぁっ!?』

早速高度を落とし始めた戦闘機にシューゴが組み付いた。下部に回り込み両手とマフラーを使って何とか支えようとして居る。同じく憲兵達が落ちるストリータ・ヘキサルをどうにかしようと慌てているのが声で分かる。拡声装置を停止させて居ない辺りだとか。
加速しながら彼は憲兵達の目の前に、一切の音を立てる事無く着地して少し経ってから確保にゃ、との声、そして慌ただしい音が下から響く。

『神妙に捕まってぇ…あれ、にゃーっ!?すっごい滑るにゃ!すっごい滑るにゃ!』
「……ハノン、もう氷を融かしても良いと思う…見られて居るから」
「…あれがシューゴ……」
「わぁ…かっこ良いなぁ…これで頭にツノみたいなのが生えて居たらもっと良かったのに惜しいなぁ……」

上を見上げると、戦闘機を担ぎながら空中に留まる装甲服の姿。飛行装置であるマフラーの設計をしたのは自分。レンカさんは今頃歯噛みして居るのであろう。

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あきゅろす。
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