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天井、天候良好、氷柱
天井に穴が空いて、清々しくも青空が見える。同じく爆弾を落としに掛かった戦闘機の影と自分が成功したらしい証である爆発とが一斉に見えて。

『にゃあぁぁぁぁっ!?』
「……高いな…さて」

ストリータ・ヘキサルがポケットに手を突っ込んだまま跳躍。魔力を使って作り上げたスプリングを靴底に仕込んだ上で、穿たれた穴から天井に立つ。自分達も出るべきだろうか、マフラーの準備をしながらハノンと目配せしてみる。
曰く、義兄に全て任せていればそれで良いらしい。確かにそう思う。未だ食べかけのオムライスが乗っかった皿を両手で持っているならその通りなのだろう。センヤが早速食べ始めた。上で平然と戦闘機が飛び交う中で。
喫茶店の外装はシンプルに赤色で塗られている。紙袋を外して茶色と白黒なストリータ・ヘキサルは目立っている事だろう。店ごと吹き飛ばそうとした相手方にも確認出来たら良いが。

「……去って行こうとして居たが、どうやらこっちに気が付いた様だ…戻って来ている」
『にゃにゃにゃ、にゃーっ!?あいつにゃ、あいつが店の上に立ってるにゃっ、突撃ぃーっうにゃあぁぁぁぁ』

店の周りを覆って居た氷壁が更に尖り、無数の棘が生えた氷柱と化して居る。憲兵達が突撃しようにも不可能であり、店の高さを上回るそれはストリータ・ヘキサルの身を隠す役割すら果たして居るのだろう。
自分達も上に出るべきと判断したのか、穴に向かって丁寧に伸びる氷の螺旋階段が出来て居た。大体ハノンの働きによる物、センヤもオムライスを残さずに食べ終えて居る。
足を乗せてみると靴裏にはざらついた表面を感じ、溶ける事無く乾いて居て滑る気配は微塵も無い。銃と捕集器を手に持ったまま上へと。それなりに良い景色とストリータ・ヘキサル目掛けて戦闘機が飛んでいる。

「センヤ、私と魔力を重ねて」
「えーと、こうするんだっけ…うぬぬ……」

ハノンとセンヤが両掌を重ね、周りの氷柱が高さを増し、その上でどっしりと安定した様に見える。戦闘機は高度を落としてまた爆弾を落として来るのだろうか。対策は万全、ストリータ・ヘキサルも迎え撃つ準備が出来ている。

『ええい何があってるんだにゃ全く…有翼なのは飛んで確認を!にゃっ!?』

突拍子も無く彼が跳んだ。戦闘機と同じく高度にまであっという間に辿り着く。何処をどうやって居るのかは解らない町長から直々に教わったとの事で無理にでも納得しなければならない。
空に浮かびながらポケットの中から手を抜き取れば握られて居るのは短刀。普通に空を飛ぶ戦闘機相手には極めて無力にも見える。更に戦闘機の前面には銃口らしきものが。
獲物が飛び込んできた気持ちなのだろう。銃口が光を放ち、目の前のストリータ・ヘキサルを狙って弾丸が放たれて居た。

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あきゅろす。
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