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食事、降伏勧告、刺客
居座る為に頼んだ飲み物入りのカップを空にして、皆で食べる為にテーブルの真ん中に置いたポテトフライを食べ終えた時には自分達以外誰も居なかった。会計役の相手すら居ない。
まともに店を出す気は無い様に思える。それに周りを取り囲んでいる中に雨に打たれた様な斑模様な猫人が混ざって居るのが見えて。辛うじて彼ならまだ良いが彼より上が出るとなると。

「…それで、これから如何したら良いの?自分達はまだ良いけどサイも巻き込んで、それにストリータさんもこのままじゃ捕まっちゃうし」
「……普通ならそう考えるが、義兄さんなら特に問題は無いと思う」
「そうですね。このまま彼一人外に出した方が潔いと思います」
「なぁんだ、そうだったんだ…」

理解が早くて極めて助かる。単に面倒臭がりだからなのかもしれないが今はそれで十分だ。目と口の位置に穴を空けた紙袋を被ったままストリータ・ヘキサルは立ち上がって。髪と顔こそ見えないが六本指に茶色い肌はしっかりと見える。特定も容易だろう。
拡声装置の用意を隠さずに行うかの猫人を前に、普通に出入り口の扉へ向かい外へ出た。からころと扉に据え付けられていた鐘が鳴り響き、辺りに配備されていた私服の恐らく憲兵が身構え始めたのが見えて、
更には彼を狙ったらしい銃撃が扉の硝子を叩き割って店に着弾して。念の為にストリータ・ヘキサルの被っていた袋には穴が空いて居なかった。無傷らしい。緩やかに歩いて自分達の元へ戻って来る。

『…にゃあぁっ、何をしてるんだにゃ、まだ狙撃は早いにゃ!』『いえ、狙撃隊は用意してません…今のは完全に、外部から彼を狙っての狙撃、便利屋の仕業かと…』
「今のは確実に俺の頭を狙って来て居た。捕縛より先に殺して済ませようとしている相手が居る…国から雇われた暗殺者…の可能性が…」
「…憲兵側も知らないみたいですね…口元を読んでみて分かりました…」
「…むー…自分とハノンしかどうにかならなさそうだね、その雇った暗殺者…ちょっと行って来るね」
「…………」

本当に、彼は話が早くて助かる。普段はこのマイペースさから実に緩い日常を送っているのも間違って居ないだろうがそれが心強い。影に沈んで移動し始めたのは、悪魔がやっていた行為と同じでしかもよりにもよって彼なので極めてイメージが悪い。

『あ、あー、にゃー、にゃー…極悪犯人ストリータ・ヘキサル…これ本当に会ってるのにゃ?にゃー…うんうん…ストリータ・ヘキサル=アンロス!お前は完全に包囲されて居るのにゃ!さっきみたいに大人しく人質を解放して降伏するにゃっ!』
「………ああ言って居るが、跳弾や被弾が怖いな…暫く大人しくしていよう…料理を適当に作って…」「了解」

トイレに一番近い席に座って居た為に殆ど外から自分達は見えなくて、加えて二人が厨房に行ってしまったので、完全に自分が暇を持て余す事になってしまった。大丈夫なのだろうか、色々と。
武器の用意は万全、一斉に突入されたのなら潔く捕まるしか無い。ストリータ・ヘキサルだけは容易に逃げられる。ハノンに至っては寧ろ相手方から保護してくれる、筈。自分だけがまたやたらと厄介な目に遭う。
結局、自分の身は自分で守る必要が有るらしい。取り敢えず銃を片手にテーブルの下に隠れる事にした。

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あきゅろす。
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