[携帯モード] [URL送信]
再会、喫茶休憩、包囲
あれだけの大音量、加えて道の真ん中に陣取って説教して居た彼は当然話題の的である。勇気を要したが今更無視をしたら恐らく二度と会えないので声を掛ければ振り返って。
紛れも無くハノンの義兄だ。焼け様な茶褐色の肌、青と茶色のオッドアイ、両目の下に尖った方が下に向けられた逆三角形が二つ重なって居る様な刺青、両耳に着けられた銀色のピアス。犬人が怒るのも無理は無いだろう。
ストリータ・ヘキサル=アンロス。前方から見ても奇特にしか見えない、嫌でも周りの視線を集めている彼はぼんやりとした視線で自分と向き合って居た。雰囲気も前と変わらない。

「…久し振りだな、サイ……申し訳無いが今は少し込み入った用事が有るから、何も頼みは聞けないんだ」
「ハノンから頼まれた。事情も分かっているから黙ってついて来てくれたら」
「了解した」

彼女と同じく淡々として居た、話が非常に早く進んで助かる。周りのざわめきも増えては居るが直接自分達に話し掛けたりする相手は恐らく居ない。あまりに外見が非常識過ぎるのだから。
それでもやはり顔ぐらいは隠した方が良いかもしれない。背後から全力で腕を振り上げながらあの犬人が此方に向かって走って来ているのが確認出来る。彼もまたそれを確認して、直後に感じるのは風。

「急がなければならない」
「…ですよね…」
「そこの貴方ぁぁぁぁぁ!何故そんな無垢そうな少年と話し合ってぇぇぇぇぇぇ」

走り始めるストリータ・ヘキサルに合わせてさりげなくマフラーを起動する。空中で足を動かして居る振りをしながら犬人を全力で振り切らなければならない。彼は悪人じゃ無い分今では極めてよろしくないから。
これだけの足の早さなら此処まで逃げて来られたのも納得が行く様な行かない様な。本当の理由はもう少し別の位置に存在するものだが。足元から異音がすると思えば彼が履いて居たのは灰色のゲタだった。




「…ある日俺はー…国に居て、何処に行こうかと棒切れを立てて倒れた方に歩いて居た」
「…………」
「そうしたら議事堂に辿り着いたが気にせず歩いて居たら、大臣が覆面を被った虎人に小さな銃で撃ち殺されて居て、逃げて数日経った時には既に手配がされていた…会えたのは幸運だとは思っている」
「ふんふん…苦労したんだね…」
「…………」

再会した義兄が相変わらずで安心したのか、ハノンを取り巻く空気が若干緩まった様に感じる。血は繋がっていないが何と緩やかながらしっかりと兄妹仲を感じられるのだろう。
予想より早く見付けられた為指定された場所に顔に紙袋を被せてみたが目立つ事は変わりなく。取り敢えず袋を被せたまま喫茶店に入って落ち着きながら話を聞く事に。
センヤも先程の話に疑問を抱かない様で安心した。詳しい説明をするにも彼については難しい。その一方で問題が湧いて居るのも事実だが。もうそろそろしたら喫茶店での方位が終わるだろう。知らぬ間に客もみるみる店内から出て居る様だ。

[*バック][ネクスト#]

6/20ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!