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全方、高度確認、説教。
「……下手をしたら貴方も問題になるかもしれない、でも私は自分の始末は自分で着けるから構わない…」
「えーと…勿論手伝うよ。ハノンに協力する。こんなおかしい格好をした人は怪しいけど全く悪い人だとは思えないからね…」

口調と雰囲気通りに気楽に、センヤは応じてくれて居た。それ以上に彼等に連絡が回らなかった事が安心だとは胸の内に秘めておく事にする。恐らくまともな協力者が増えたのは単純に嬉しい。
三人掛かりでばらけて探すのが一番効果的だろう。集合時間を決めて後は好き放題である。どんなやり方でも義兄が見付け易い外見で良かった。その分他の憲兵に見付かるのも同じ、捕まるのは多分不可能だが。
ハノンは地上から、自分は空中から望遠鏡を使って探す事に。センヤはハノンと共にと思っていたが、「悪魔殺法」だかで誰かと同じ様に影に沈んで泳ぐ様に動けるらしいので下から。
自分の手を柔らかな手が掴んで上下に揺すられ、よろしくねとセンヤは挨拶をした。今は一時的ながら協力者で自分達の仲間で頼れるべき存在、なのだろうか。

「…何か裏が有るかも…見付けたらセンヤは私の名前を出して使う様に……」
「はーい…因みに見た目を変えてる可能性はあるの?」
「無い」「無いです」

驚くセンヤに対して自分達は普通に解散した。確かに周りから見ると相当悪目立ちする外見だが仕方無い。これが彼でハノンの義兄だ。ある意味で残念だが。
マフラーを起動、上空に飛び出し高高度から義兄を探す。特徴は一度写真で見せられはしたが今でも確りと覚えて、と言うよりかは一度見ただけでも未だに彼は忘れられない。
第一に人間である事、これは間違い無い。獣人は全て弾いて、更に肌の色は年中を通して浅黒いもの。下を適当に見回すだけでも十二分に見付けられる。更に彼の髪色が黒と白と混ざり合ったもので、瞳の色が青と茶色で両方で異なり、両手の指が六本ずつ有り、手配され始めて居るのなら。
顔を隠そうともしないなら目立つ目立たないの問題では無い、干し草の山から色鮮やかな縫いぐるみを見付ける様に簡単な、既に発見出来てしまった。更に誰かに絡まれて居る。

「…………」

ばれない様に降り立ってから物陰から見遣れば、白黒の混ざった特異な髪と黒い肌が背後からでも良く見える。獣人に何故か絡まれて居るらしい。彼と向き合って居るのは犬人で見た目は小綺麗な様子で、

「そんな格好で恥ずかしく無いんですか!親から与えられた身体をそんなに紛い物で染めてっ…!」
「……その…」
「何ですか!言い訳ですか!何れだけ今反省してももう二度と綺麗な身体は戻って来ないんですよ!分かってるんですかっ!」

道理が通って居るだけに反論し難い説教を道端で行っているらしい。このまま即座に割り込むのは難しいだろう。暫く見守るのが最適だ。
暫く説教は続いて、終わった時には犬人の方が息切れしていた。そこまで熱の入った説教で後ろ姿も明らかに項垂れて、と思いきや彼が離れた途端に背筋は元に戻る。間違いなく彼だ。確信してから向かって行った。

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あきゅろす。
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