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希少、隠密行動、静止。
彼の種族には見覚えがある。希少種だからとオークションに出されていた世界に千人は居ない、その半分の半分程度しか住み着いて居ないらしい。鱗を捨てて回復力を優先したその身体は人間より柔らかいとの事。
それ以上の問題としたら彼がラーツの同期な憲兵である事だろうか。加えて声色からするに別件で自分と前に会って居た気がする。見られてしまったがどうするのか、ハノンの目から考えるに先ずは柔らかな接触、場合によっては実力行使も辞さないらしい。

「…センヤ、どうして此処に?」
「えーと…何で隠れた感じで外に出たのかなって思ってついて来た。今日暇だったし」

センヤと言う名の竜人は気楽そうな口調で呟いた。手頃なのか自分の両肩を緩く揉みながら。これがラーツだったならば自分の首元に腕を掛け首の骨を折るか何があるか話すか尋ねている所だろう。
その心配が無いのはある意味で大きい。詳しく尋ねられたならば相当危険な状態なのは変わりないが何かしらの機会は未だに存在する筈である。柔らかくて心地良くて眠気すら湧いてしまう指捌きだがこれは先手を取られたのだろうか。

「…でー…えっと…何でサイ君とハノンさんが一緒に居るの?」
「…………」
「……プライベート」
「えーっ?知らない間にそういう仲だった…訳無いよね…だって前に絶対振りだったってラーツから聞いてたし…本当は何なの?」

ラーツの事をさり気無く良くない方に思いながらどうやって誤魔化すべきか考えて。彼がハノンを見る目は極めて無邪気なもの、変に疑ったりはせず純粋な興味で尋ねて居るのか。
少なくとも無邪気さが読めないが彼は御し易い方に入る。ラーツよりかは恐らく。素直に話しても協力してくれそうな気もするが彼もまた憲兵であって。内輪の話に他人を巻き込みたくない事もある。
ハノンの義兄が手配されている時点で相当な手遅れだとも思うが仕方無い。せめてもの思いだ。ハノンもそのつもりらしく自分の手を引っ張っているがセンヤも離さずこのままだと肩が悲鳴を上げる。

「んー…あー…だったら自分の知り合いの便利屋に話をお願いしておこうか?自分じゃ話しにくいのが何か有るんだよね…?」
「……有難いのは確か、しかし貴方にその便利屋が情報を送らないとは限らない…」
「きっとだいじょーぶだよ。その辺りしっかりしてるし、依頼は皆全力でこなすから。自分が連絡しておくから…えーと、頑張ってね?『Three-Star-Stag』っていう便利屋だか」

離れるセンヤの袖を全力を持って掴み引き止める。義兄と彼等が混ざってしまったら何れだけの被害が皆に、何より自分に迫るか分かったものではない。センヤ、彼はカゲロウ二号だ。気になる事もあるがここはハノンを優先する。

「…素直に話して、引き込んだ方がずっと良い…なるべく自体は穏便に……」
「…悪いけど、それで全力?」
「…そう言うのなら…センヤ、実は…」

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