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上司は疲れる、仲間は仕返す
多少の無理が有ったかと思って居たら、トキザは呆気無く会場に戻る事が出来て居た。道理を持っている彼の隊長が困る結果になるが仕方無い。実績が有るからこそこんな事が出来るのだろう。

「…昔っからの友達みたいだが、正直言ってどうだった?」
「昔から殆ど変わってません。もっと言うなら昔に比べ行動力が上がっていると思います」
「やっぱりかよ…はぁっ……」

腰にタオルを巻いただけの姿で、牛人が頭を抱えて溜息を吐く。多少の盛り上がりが確認出来たが今更気にはしない。部屋の中から僅かに漂う生臭い匂いも気にしては行けない。
部屋の中は大概の物が滑らかなクリーム色で構成されていた。ダブルサイズのベッドが二つに手頃なテーブルとソファー。照明は電球一つ、救急箱が一部屋につき一つ備えられて居て安心だ。

「…シゼルニー=アディストンって知ってるか?」
「…トキザと僕の友達です…いえ、友達でした」
「でした、ねぇ…トキザは止まらないが一応気持ちとか魂胆は読める…でも、アイツは一体何だ…?何一つ分からねぇ…」
「…トキザがその理由を教えてないなら、僕も言う気は有りません」
「秘密って奴か…こんなに可愛い奴でも、か……」

言葉に応じて身体の一部分が僅かに反応して居たのはとにかく、トキザもニッグさんもロッシュも今現在会場の中に居る。若さとあのはしゃぎようからするに目立つ。人目に付き易い。暫く自分を失った結果になる二人。見えて居たのは確か一瞬。それでも人相の確認ぐらいは十分出来た筈で。

「…すいません、そろそろ失礼します」
「おぉ、時間取らせてすまんな…柔らかそう」

何か言っているが、今は気にする暇は無いと思う。彼等とて分別はある筈なので特に急ぐ事は無く会場に戻る。体力の無さについては仕方無いとして、銃と捕集器の確認何方も良し。
ロッシュの場合は見付けて顔を見て居たなら先ずは所長に連絡する筈だ。その後は所長に任せる。能力と地位の関係上極めて地味な嫌がらせに移すだろう。流血しない程度に針金を小指に突き刺すとか。若しくは見付けても他の相手達に絡まれて居て何も出来ない。
ニッグさんの場合。どうするのか分からないが口は出る気がする。当然トキザ達とは折り合いが合わないと思うのでその後は最悪流血沙汰。

「…………」

相変わらず広い会場に新しく盛られたらしい食事他。大剣を背負った姿はとても見付けやすかった。同じく酒瓶を三本纏めてラッパ飲みしている猫人と人間のハーフも。距離は結構離れている。先にニッグさん達に話をしておくべきか。

「…すいません、少し話を良いですか?」
「……今は少し、手が離せない状況ですが」
「そんな事を言わずに、話し合おう?だって僕達友達じゃないか?」

今度は、自分が魚の表面を思い出す様な模様を持つ猫人に話し掛けられた。ウサギ君がその隣に居る事から恐らく厄介な話だ。

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あきゅろす。
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