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親族は愉しむ、友人は探る
一番の問題と言えば彼と自分とが出会ってしまった事では無い。彼一人だけで此処に来て居るとは思えない事であり、嘗て自分を間接的に殺し掛けた彼も来ている可能性が、いや確実に来ている事だ。

「…こう従兄弟といきなり言われても、中々受け入れられ難いですね…貴方一人だけで来ている訳じゃ無いんですよね」
「勿論ですよ、こんなんでも大元は大規模な便利屋ですから!ええ、由緒正しくくじ引きで誰が行くか決めましたよ!きっちり当たった訳ですトキザ含めて!」
「身内、かぁ…ちょっと俺は席を外した方が良いか…所長に宜しく…」

どうやら来て居るらしい。確かに彼等が所属する便利屋「absolute hexagon」は良い話しか聞かない。本部の話であり、支部側に務めている彼等に着いてはどうかは詳しく知らないが。
トキザが何をしてるかに着いて考えるだけ愚問だ。出会った時に銃とマフラーとを返して貰えると有難い、今はそれだけ考えておく。メイセさんと離れられたのは幸いだった。アライズの視線は此方を射止め続けて居るが。
ふと視線を遣ると、壁に掛けられた時計が親睦会開始の時間を刻もうとしていて。今までは単なる牽制、これから酒が入ったり食事が並びより饒舌になる様な事が起こるのだろう。
臙脂色の絨毯が敷き詰められた床に、煌びやかに輝く無数のシャンデリア。その照明が一気に落とされ、辺り一面暗く染まる。本当に何も見えない中、ハスケイヴ他猫系獣人の目が光っていて。

『ようこそ、便利屋の皆様…お忙しい中此方にいらして頂き誠に有難うございます…』

一人の老齢な犬人にスポットライトが当てられた。拡声装置が取り付けているのか巨大な会場の中にも声が響いて居る。

『本日は用意しました食事等と共に、親睦を深めて貰いたい…それではお楽しみ下さい!』

照明が元通りに灯されたと思えば、あらかじめ用意されていたテーブルの上に多数の食事に取り皿に食器に、更には多量の酒瓶が並ぶ。周りからおおお、と歓喜の声が漏れる。そして群がり始める。
その一方で取り皿だけ取っては遠巻きに話をしている相手やら、担いでいる大剣をおそらく話の種にしているであろうニッグさんも居て。所長には酒を飲ませないようにと副所長から言われて居るがその辺りはロッシュに任せる事に。

「…さてと、楽しみましょう!心配要りませんよ、あの人はボク等の本部長なんですから!酒は飲みますかってうわぁぁマタタビだーっ!」
「…………」

少なくとも、彼の親、自分の叔父に当たる人物はポジで間違いない。そうで無かったら叔父の妻が陽気なのか。とにかく彼は愉快な親を持って居るらしい。
取り敢えず、トキザを探す事にした。

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