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親は戻る、藪蚊は浮かぶ
母さんは戻っていく。父さんは何処に行くのか解らない。折角だから皆に顔を見せて来て出来るなら伝えてくると言っていた。また世界中を飛び回る事になるのだろう。
具体的にどうやって移動するのか、それは誰にも解らない。自分以外は。多少の調整やら改造やらは既に施して居る筈だが。保存の効く食料を拒まれたのでフーガさんはがっかりしていて。

「……あの性格と見た目で世界行脚?自殺兼襲われに行くと同じじゃない?」
「ニッグさん、大丈夫ですよ。父さんは母さんより正直…ですから」

だろうね、と呟いたのを聞こえた、どうやら少し間違えて判断したらしい。どう取ったとしても完全に間違えて居ないから困る。試しに扉を開くと既に誰の姿も見えなくて。
何時もより少し遅く、緩めな朝食も済んだ所で休日明け初めての依頼だ。休めたかどうかで考えるならそれなりに。やらかさなかったら少しも疲れは残ってない筈だったが、父さんと再会は出来たので容認しておく。

「…今回の依頼…と言っても、あまり難しくはない…多分難しくなんか無い…本当に難しくない、簡単だ…簡単…冒険しないなら…」
「……落ち着いてセグ…今日の依頼に何があるか、誰が行くか、それだけを教えてくれないかな?」
「……主に大会に出てた便利屋同士で、親睦会をする、らしい…から、俺の同伴を…決めなきゃならない…」

所長が言い渋っている理由も分かった所で、誰が行く事になるか。親睦会とは文字通り各地で有力な便利屋の面々が集まるのだろう。その分危険性も高い。一斉に集まった所を一網打尽にする様な輩が出てもおかしくない。護衛も兼ねる。
一番の問題は所長が出席する事で間違い無い。今でも尻尾が軽く股下に巻き込まれようとしているメンタル面の弱さだ。仲良くなれるどころか疎遠になるかもしれない、噂は広まり経営にも響く可能性がある。

「…一番の適任なら…アケミチ、と…ロッシュ、と…後は、まだ未定だ…両方行くのも急な仕事は対応出来ない、エンフィは…留守番」
「…で、親睦会って何するんだ?」
「あまり硬い会じゃない様です、単に食事会の「ひぃっ!」……食事会の「ひぃぃっ!」…食事会「ひぃっ!」」

まるで食事会にトラウマを抱いてしまった様な悲痛な叫びが、アケミチさんの居る部屋から響いて来た。一体何があったのか。自業自得なので自分は何も言わない、謝らない。が、自分のせいなので自ら志願する事にした。

「…じゃあ、俺に、ロッシュに、サイに…」
「…俺が大剣込みで行っていいかな?かなりの箔付になると思うんだけど…」
「そうだな、決まりだ」

こうして、自分とニッグさん、ロッシュは晴れて同伴する事になった。二日連続になってしまったが仕方無い。楽しめたら。楽しめたら良いと思う。

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