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巻かれる毛玉に部屋と問い
数日後には久し振りに親友と会えるのに、自分は依頼の中で仲間と少々絡み合ってしまった。だからと言ってあまり悲しむ事は無い。自分一人がこうだとは限りなく低いが違うかもしれない。
しかし二日連続で便利屋の仲間と絡む事になるとは流石に貴重過ぎる、言い方を変えればこの先間違い無く二度目は無いであろう事か。一体どうしてこうなったのかはやはり所長のせいであって。
通信機越しの話を終えてから、現代に生きるニンジャな眼鏡を掛けた雪豹人、アケミチさんに数個言葉を耳打ちしてから再度塞ぎ込もうとしたが阻まれ、大人しく自分の部屋に戻って行った。何故か自分とロッシュを引っ張って連れて。

「…ぐぅ……」
「…ロッシュ、どうしてこうなったのか分かる?」
「…さぁ、でもセグは満足してるみたいだし良いかな…悔しいけど」
「……………」

初めて入った所長の寝室には何も無かった。厚手のカーテンが窓を覆って居て、小さな棚に部屋の中心に置かれたキングサイズのベッドに布団。それ以外は何も。所長らしい。
ふらりと連れ込まれては、背後から自分の胸元に抱き締められて横に寝かされ気が付いたら物理的に絡み合ってしまった。自分と所長の間にはロッシュが挟まっている。自分の背中にはロッシュの背中がくっつき合っていた。
ベッド自体は上等な物なのだろう、三人が乗っても程良い反発を返してくれている。単に自分達が軽過ぎるのもあるだろうが。掛け布団もしっかり掛けられ、昼時なのに眠ってしまいそうである。

「……そういえば、ロッシュに少し尋ねたい事が有るんだけど…」
「…何……?」

所長はもう眠っている。手先から伝わる体温は低目だが二人に挟まれたロッシュも随分と眠気を感じている様だ。声色で分かった。
所長は安らかに寝息を立てて明らかに寝入っている。
今が尋ねる時なのかもしれない。こんなチャンスは所長の思いがぶれないのなら二度と無い。ロッシュももう直ぐ眠ってしまう、やるかどうかの判断は迅速かつ俊敏に。

「ロッシュと所長は、どういう仲なの…かな…?」

前々から思っていて、予想通りの言葉が恐らく返って来る様な質問だった。はぐらかすか素直に言うのかそれともはぐらかすか誤魔化すか、と言った感じだ。こんな時でも秘密を突き通す
ロッシュならそうする。二人の仲は先輩後輩だとかで測れる関係で無いと自分にも理解出来るのだから。暫く背後からは何の答えも返っては来なかった。

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あきゅろす。
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