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冷めた毛色に水と過去
終わった後には処理が必要である。長々とやって居たので既に匂いはかなり濃いものになっていて身体に付着した白濁は固まりかけていた。

「うぐぐぐ…っ…!」
「…………」

性質の関係上熱湯を使えば固まってしまう。借りた部屋で排水溝を詰まらせる可能性もある上、修理屋を呼んだら何が詰まってるのか解ってしまうだろう。
だから白濁が固まらない、水を使って洗い流さなければならない。かなりきつい上暖まって居た身体が一瞬で冷え切る程だったが。ロッシュは特に体毛に絡まるものを流さなければならない。
しかも僅かに匂いが残っていたとしたらきっと絶望する相手が出て来て便利屋の経営にも支障が出る。買っておいた石鹸を使い切る勢いで全身を泡立てていた。一人用のシャワーに二人で全裸で入ってる時点で知らせては行けない筈だが。

「うぅぅ…そろそろいいかなぁ…?」
「…全身は洗い終えたし、良いんじゃないかな…」

手足の感覚が痺れ始めて来るまで念入りに洗ってから、質問を素直に答えて全身の水気を拭う。使うタオルは念には念を入れて別々の物を。自分からロッシュの匂いがするだけで絶望する可能性も高いのだから。
部屋も全力で換気して、布団を二人で並んで被り眠ろうと。元々一人用だから背中同士が触れるまで身を寄せないと身体がはみ出てしまう。この時点で相当アウトだと感じるが何も言わない、故に何も言えない。
ロッシュも同じく何も言いたくは無いらしい。行為の後に口数が多くなる相手も中々宜しくないから。

「……サイ」
「……何」
「…君は一体、何なの?」

短い言葉の中には、様々な意味が含まれて居るのだろう。主に母親の事だとか或いはそれ以上に思う所が積み重なって居たりとか。それとも、もっと掘り下げた所なのか。

「…それからさ、出来れば君達の事も」
「ああ、憲兵に友達が居て、だけど親の仇以上に僕以外の便利屋を嫌ってるから紹介は出来ない…下手にしたら僕も危ないから」
「ふぅん…いや、多分そっちじゃない方の…君のお父さんについてとか」
「…………」

街の事は話さない。しかし、家族の事は話しても別に構わないだろう。やらかしたのは何とか反らせられる。それに、ロッシュの話を聞きっ放しでは気が済まない。
思い返すとあまり良い出来事は無かった、悪い出来事も無かった。だけど他人に迷惑その他を掛けてしまった出来事と言えば、それはもう。

「…最初に言っておくと、僕の父親は…定職に就いてなかった」

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