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軋む鼻先に習慣と肌
「…ご、ごめんっ!その、唇はやっぱりほら…その…」
「…………」
「間に合ってない…っというか空いてないからっ!ごめん、口はちょっと駄目だからっ……」

必死で弁解しているロッシュに浮かんでいるのは恥ずかしさ混じりに慌てた様な表情で。とにかく先客が居て間に合っていて自分に対して唇を重ね合わせるのは駄目らしい。
無理やり奪ってしまっては流石に怒るし誰かも怒るどころか涙を浮かべてしまう可能性も高い。素直に従う事に決めたがこれからどの様にして進めていけば良いのだろうか。
考えて居る内に服をはだけさせながら自分の服が脱がされに掛かる。実に自然な動きで体毛に覆われた肌を露出しながら自分を脱がせる手付きはとにかく慣れているのを感じて。

「…サイ…凄い綺麗だね…さっきちょっと見てたけどさ…」
「……僕が言われる事も、何だか変な感じだけど…」

体格から見ると大体同じく薄くて小さく確実に痩せ気味の身体が露わになっている。大きさの差と体毛の有無で自分の方がより細身に見えていた。
さほど変わらず薄い胸板に突き出ても割れても居ない様なやはり平坦な腹部、ロッシュの方が発達している足回りに要は自分がより細身で小さめであった。
股間には毛皮の有無はあるものの確かに雄のそれがそれなりに血が通った状態で存在している。種族柄仕方無いと分かっているが粘液に包まれた薄い肉色をしたそれは実に艶めかしく見えて。

「ん……」
「……………」

ごく自然な動きで自分の身体に腕が絡み付いて来た。普段からその様にしているのかは自分が知る必要は無い。甘える様に頭に頬擦りされている。柔らかい毛並みが心地良い。
そしてまたしても実に自然な動きで身体が引き寄せられ、口元が近付いて来る。身体に何をどうするか動きが染み付いているのか、やっぱり慣れきっていて。
今度は目を開けて見てみるとロッシュも目を閉じて自分が口付けをしてくれるのを待っている様だった。そして暫くした後に自分の前でゆっくりと目を開いて。

「…わぁぁだから駄目だってぇぇっ!」
「はぶっ」

やはり途中で気付いたのかその顔には驚きと恥ずかしさが混ざった表情で、さっきと同じ様に自分の顔に向かって掌が飛んで来た。とは読めたのだがあまりの早さに自分の顔に掌が叩き付けられる。
鼻に痺れる様な痛みを感じながら、無言のまま恐らくは冷ややかに見える視線をさりげなく返す。本当にごめんねっと慌てながらも謝ってくれて、今度は柔らかい手付きで鼻先を撫で回してくれた。

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あきゅろす。
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