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絡まる熱に身体と掌
あまり言いたくは無い過去を明かすという事はそこまで自分を信じてくれた証と考えて良いのだろうか。そこまでの信頼を築けたとはこの依頼で得た物は多いのか。
話を聞き終わり、シャワーも二人して浴び負えてさて眠ろうかと思って居たのだが。何故かロッシュが自分に向かって甘えて来ている。かどうかはともかく間違い無く密着が強い。
顔にも何となくだが熱が籠っている様な。尋ねても良いがどんな答えが飛び出るのかが怖い。このまま自分の身体に強く抱き着く程度で夜が終われば良いのだが。

「サイ?その…あの…」
「…一体、何で僕にここまでしがみついているのかな」
「…あの…は、恥ずかしいんだけどさ…今日は…その、そういう日だったから…身体、熱くて…」

誰とやるのかどうかは解らないが依頼が早々終わって帰れたならそういう事をやる予定で、つまりは身体が熱くなってしまったらしい。誰にも教えてしまったら行けないだろう。
種族柄かそれとも彼自体の特性かは知らないが全身から放つ匂いが強くなっているのもその為だろう。先程シャワーを浴びたとは思えない強さの匂いが下半身から漂ってしまっている。自分は気を利かせて部屋から出るべきか、それとも。
出ようと思っても自分の袖を掴んで話さないのは何故だろうか。自分より体格が大きい筈なのに上目遣いで見下ろすと中々不思議な視線なのは果たして。

「あの…こんな事に後輩を巻き込むのは申し訳無いって思ってるんだけど…その…あのね……」
「…………」
「…今夜だけで良いから、その…ね…出来ない?」

どういう事なのかは理解出来たが、自分の身体目当てであった。表情からするに理性だけではどうにもならない程に、自分も一時期拳を突き入れたよりも強いか同じぐらいかの疼きを感じているのか。
何も言わずに頷いて答えると、同じく何も言わないまま身体を引き寄せられた。あれだけ射出機を振り回してるとは思えない様な柔らかな手先で取り敢えず手を返したりはしない。

「…ん……ゴメンね…」
「…………」

気の利いた言葉が浮かばなかったので、何も言わないまま身体を寄せ引き寄せられる通りに従って。近付いて来る口に大人しく後輩らしく先輩に従い口を返そうと、

「…わぁぁやっぱり駄目ぇぇっ!」
「っぶ」

理不尽な我儘に入れて良いのだろうか。雰囲気を察して自分の目を閉じて居たのに、唇に押し当てられたどころか痛みを伴う程の勢いで叩き付けられたのはロッシュの掌だった。
唇の裏側が歯に当たって痛い。出血はしていない様だがやはり怨まれて居たのだろうか。

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