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構える手筈に夜中と目撃
晴れて説得出来たので、一人一人交互に通風口に入る意味は無くなった。何時もの様に蓋をきっちり閉じた中で誰かが入って来るのを物陰から見守る。実際入る様な相手が居たら写真に収め、出て来た所を捕まえ、接着剤に付着するかもしれない体毛を証拠にする。
相手が竜人か蜥蜴人等体毛を持たない相手で無い事を祈りながら待ち構える。一日丸々は使ってない、こっそりと忍び込むなら毎日入り浸るのはおかしい、自分達が張ってた時間帯が態と空けた時だったとすれば。

「……サイ、あれかな?」
「…掃除に来た訳じゃ無いかな、行こうか」

運良く現れたのは帽子を目深に被って目立たない色をした作業着で上下揃えた尻尾からするに犬科の獣人。背は間違いなくロッシュより大きいからか機嫌が悪そうに唸るのが隣から聞こえる。
彼は、恐らく彼なのだろうが何気なく置いてある筈の棒を平然と拾い上げて蓋を引っ掛け手に取り、膝を曲げ勢い良くその場で跳び上がった。高いながらも縁を掴んで無理矢理ながら慣れた様子で入り込んでいく。その様子をしっかりと写真に収めた。
かたかたと小さく音を立てながらも蓋に付けた糸の為か後ろ手で蓋を閉じる事に成功して、後は何ら変わりない風景。あくまで外側だけ見た限りではだが。内側ではきっと腹這いで全力で突き進んでる。
恐らく無いだろうが誤解の可能性も存在はして居るのでゆっくりと二人して壁際に背を預ける。出て来た相手を挟み撃ち出来る様に。どれだけの時間が掛かるかどうかが問題だ。流石に個人差が強い。

「…どれくらい掛かると思う?」
「……大体一回で…三十分ぐらい…なのかな」
「…それはロッシュの経験から?」
「っ…うるっさい!」

案外空きが有る様なので軽く呟いてみるも過剰に反応してきた。若干此方を振り向いた顔にも恥ずかしさが見て取れる。感覚的には自分もそのぐらいだった。とは言え早過ぎるのは彼女達にも良くない。
屋敷の娘で、規模は大きいが隠し事をしてるとなると何気無い事にも敏感に反応してしまう。彼氏も堂々と忍び込んで居るなら察しが良いのだろう、ばれたくないなら手短に済ませる可能性が高い。

「…多分、ずっと早く終わるかな」
「…そうだね…僕だってその…つまり、身構えて損は無いよ」

長らくの経験者の確かな年季を感じたが、今言ってしまったら集中を乱してしまうので止める。冷え切っている銃を握り締めて用意。実弾を撃つのは禁止されている為中に入ってるのは麻酔弾。
挟み撃ちなら一人の相手を制圧するのは簡単だ。しかし方向転換出来る、顔から出て来て鉢合わせする事も考えられる。目配せしたら数歩下がった。流石に話が早い。

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あきゅろす。
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