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職を答えて王誘う
またしても急展開でイセラさんに中々辿り着く事が出来ないのは悪魔と絡んでしまったからだろうか。依然ウサギ君とやった様に自分と山羊人は一人用の個室に入った。触れそうな程に距離は近い。

「さてと。私が誰だか解りますか?ピタリにニアピン、様々な賞品を用意して有りますよ!」
「………見た目から察するに、イセラさんの兄弟か身内か、そんな感じだと思われます」
「ふむふむ!」

考えついた事を素直に口に出す。結果がどれだけ愉快なものになったとしても彼等は悪魔で目の前に居る彼もまた同じくそういった存在なのだから遠慮は要らない。

「…が、エイサスさん達はやたらと貴方に畏まって居た様に見えました。つまりは上司的な存在、経営している便利屋の所長辺りが無難です」
「ほうほう!」
「ですが彼等が上司関係だとか重視する存在だとは全く思えません、つまりはもっと別の所で上の役職と言う訳で…悪魔は魔界から来ました、つまり貴方は…」
「私は…」
「…魔界を統べる存在、魔王。或いはそれに近い役職に就いて居る。間違い有りませんか?」

突拍子の無い話に辿り着いたが、元々悪魔と人間である自分が絡んで居る時点でそんな言葉等全く見当たらなくなって居るのである。山羊人は笑っ放しだった。荒唐無稽な自分の話を可笑しいと感じたからそれとも。

「くくく…うくくく…ふーっはっはっはっはっはっ…はぁ…はぁ……」
「…………」

下手に大きさを殺して高笑いしようとしたからだろう、息を切らせてどうにも危な気な呼吸音をして居る。場所からしても怪しい。このまま手を出されてもおかしくないだろう。
この時点で撃ってしまえば良いのかもしれないと銃を握り締める。自分の直感ながら彼は何をしようとも笑って許してくれる様な気がするが。

「だーいせーいかーいっ!という訳でこんにちは始めまして、私が魔王ですっ!」
「それで」
「……話が早いみたいで良かったですね…」
「貴方みたいなのは慣れてますからね」

山羊人もとい魔王は、何もかも理解した様な表情で指を鳴らした。彼の様な相手は昔長々と世話になっていた。上っ面ではなく中身含めて堂々として居る彼は。
こういうのは雰囲気ですからね、と周りには薄紫がかった色の空間が広がっていた。トイレの個室よりかは確かに雰囲気がある上に大事な話を聞かれる心配が無い。秘密を話すにはうってつけの場所だった。

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あきゅろす。
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