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悪魔が通りに影沈む
最初に感じたのは、急にそんな事を話されても困るという事だろう。おまけに事情を話しながら移動している。便利屋の皆にはまだ会えそうに無い、手早く済ませる必要がある。

「今は何処に向かってるんですか」
「あの収監所。イセラが捕まったのはそれとして、最悪死刑もある…のはまあ別に良いと思ったんだけど、イセラの体調がまずい事になってる」
「…それで、僕はお見舞いには行かずに収監所でイセラさんの無実を明かす訳ですか」
「…うん。そこまで話が早く解ったなら君に頼んで間違いないか…なるべく急ぐよ」

悪魔な角付きの犬人、エイサスさんに連れられて影を泳ぐ。視界も何も見えやしないが相当な早さで進んで居る事は分かる。出来るのなら両足首で無く手首辺りを持って欲しいが。
緩やかに上下に動く両足に、態とだろうが彼の股間が自分の視界の真正面に有る。脚を動かしている為に微妙に形が分かるのすら狙っているのかどうか。悪魔らしいのは前提として彼らしい。

「…移動中だけで構わないし、軽くで良いから僕のをしゃぶって貰えないかな」
「イセラさんの事、心配してますか?」
「あーうん、してるしてる。ドミナーとシフカを見舞いに行かせてるから安心して。安心してついでにしゃぶってくれたら」
「お断りします」

言葉は変わらないものの、イセラさんの事を話している時に自分を掴む力が強まったのが分かって。曲がりなりにも心配しているとは十分に分かった。性欲に関しては相変わらずだったが。



暫く影を泳いで居たが、急激に浮上する感覚、エイサスさんに掴まれたまま持ち上げられていく両足首。辿り着いたのだろうか。

「…やっと着いたけどもう収監所としては機能してないからね…僕達もやっちゃったなぁ…楽しかったけど」
「…………」

足首から持ち上げられた為、まだ胸から上は影に沈みっぱなしで何がどうなってるのかエイサスさんの声で判断するしかない。持ち上げて欲しいと言って持ち上げてくれる程悪魔に良識は求めない方が良い。一応足先を動かしてみる。
あ、ごめんねと声が聞こえて足が動いた。上では無く前の方へと。視界は黒いまま。恐らく収監所前から中に向かって居るのだろう。そういう事じゃない。
ずるずると恐らく自分の下半身だけ引き摺られながら進んで行く。そんな自分の足に触れたのは、触れられるのは周知の相手だけなのだろう。

「やー二人とも…頭脳面ではエイサスだけじゃ少し物足りないからねー…」
「五月蝿いクグニエ…今まではイセラが何だかんだで参謀役だったからねぇ…」

比較的硬質なざらついた声。顔は見えないものの声はクグニエさんなのだろう。出来れば目で見て分かりたいので、軽く爪先をばたつかせた。

[ネクスト#]

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