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安心は進歩に
「……っ…」
顔を見られるのがいきなり恥ずかしくなって、掛け布団に身体全体を潜り込ませる。
もう、帰って欲しい。今の自分はみっともないにも程があるから。

「……襲われた人の心情なんて解らないよ。そんな事無かったから。でも…」

「……っ…!?」
ごそごそと掛け布団がうねる。同時に気配が近くなる。

フーガさんが布団の中に入り込んできている。もふもふした羽毛がこそばゆく、足元、腹、自分の頭へと

「…とりあえず、私は優しく受け入れるから。」

羽毛越しに体温が伝わってくる。耳元で優しくフーガさんは呟く。

布団の中で、優しく抱き締められていた。

「…本当…です…か……?」「本当だとも。だから、今は眠りなさい。」

更に身体を擦り寄せられて、顔が胸らしき部分に埋まる。
鼓動がどくどくと心地良いリズムを打って、それが自分を落ち着かせる。

「………」
涙もいつの間にか止まっていた。ひたすらにフーガさんの体温が暖かくて、
独りではない安心感からか、直ぐ様眠気が舞い降りてくる。
まるで人型の抱き枕のよう。蓋を開ければ変な人なのにな、素直に嬉しい……

意識が深くゆっくりと落ちていった。

「…次はこれだけじゃ眠らせないからね……」



「やあ、お早う。」
「…お早う御座います。」
「サイ、おはよう。」

朝起きると既にフーガさんはベッドにいなかった。
部屋から出てカウンターを見ると、相変わらずのビキニパンツに……ビキニパンツのみの鳥人。
……あ、一日で慣れてしまった。
と、適当な朝食を食べている垂れ耳の兎人。
「サイ君、トーストがいい?それとも……」
「トーストに何か付け合わせをお願いします。」
「了解したよ。」

ロッシュの隣に座って、トーストを食べ終えるのを待つ。
食べ終わった所で、自分の口を開く。
「…ねぇロッシュ、空いている時間に、銃の撃ち方を教えて欲しいんだけど……」
「別に良いけど……自己防衛?」
確かにその通り、まずは自分の身を守るため、あとは…

「お荷物扱いは、嫌だから…かな。」
「………分かった。」
ロッシュが自分に向き合って、両肩を掴んだ。

「便利屋の先輩として…ふふふ……しっかり後輩に教えてあげる。」
……一先ずコーチのやる気は心配無さそうだ。

後は自分の頑張り次第。



第二巻、終了。

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あきゅろす。
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