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解析は仰天なれど返却あるもの
すると部屋の小脇に据え付けられていた機械がかりかりと音を立てて何かしらが書き綴られた紙が吐き出された。印刷機だったか、恐らくは捕集器の解析結果だ。

「さて、もしもつまらない結果だったら即座に貴方をしょっぴ…しょっぴ……えぇぇぇぇぇぇっ!?」

どうやら面白い面白くない結果以上の何かが紙面に載っているらしい。一頻り大声を上げた後、勢い良く走って部屋から出て行ってしまった。残されてしまった自分は果たしてどうすれば良いのだろう。逃げる事も考えたが、大人しくしておく。
何分か後にやはり物凄い勢いで戻ってきた。彼女の手元には紙が二枚。物凄い激しさで両方に視線を移していて非常に近付き難い印象である。貰い物だがやらかしてしまったか。

「これ…てか貴方の持ち物の魔力変換器…」
「捕集器です」
「どっちだって良いって言うかこれどっちも兼ねてるのよ!分散してる魔力を集めて、気体を魔力に還元して!しかも損失ゼロ!容量も…何でか最近空になってるのは…ああもう、とにかくぅっ!」

紙を放り出して自分の両肩に爪が食い込む。かなり力が入っていて痛みが走る。今自分の目の前の彼女の表情はさながら、初めて火を見た様なとにかく驚ききっている顔だった。

「何処でアレを手に入れたのっ!」
「友人からの貰い物です」
「その友人と連絡は付くのっ!?」
「この前まで服役してましたからまだ通じにくいかと思われます」
「……よしっ!幸いにもこの私の全力をもって複製してみせるっ!」
「…その時まで僕はどうしたら良いんです…か…」

自分の問いも虚しく、彼女は叫びながらまたしても走り去ってしまった。底無しの技術者気質は褒めるべきか、自分はどうしたら良いのか一言でいいから教えて欲しかった。
壁は分厚いのか防音に優れているのか自分の周りに有るのは全くの静寂。窓は存在しない自然な風景が無く、見た事があまり無さそうな端に観葉植物があるだけで殺風景。室温は適温。

「…………」

中々時間が潰せない暇な時間が自分を流れる。こんな時は予想以上に時間が経ってないのだから余計に質が悪い。今自分が座っている治癒装置は座椅子の様であり眠るには適さない。
生理的なものはどれだけ耐えられるか、その上そもそも自分はまだどうなるかすら一切の不透明で。裁判女には連れていかれないらしいが、悪い様にはならない事を祈る。

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あきゅろす。
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