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思想は先行なれど誤認あるもの
第一印象から構うには、敵対して居るならば相当に厄介な相手と解ったのは収穫と言えるだろうか。ハスケイヴは自分と対峙し、いきなり宝石盤入りのガラス箱を地面に置いてしまった。
服の袖口がずり上がって癖の付いている毛皮に覆われた両腕が見える。後ろに生えている尻尾が実に軽快に振られる。猫人とのハーフだとは間違い無さそうで、自分が遊び相手、なのだろう。

「これで良ーし!この箱をぶん取ってどうぞ逃げても構いません!もしくは直接対決して倒した後に奪い取って下さい!何にしたってこのボクをどうにかしないといけませんがねっ!」
「…参考までに聞くんですが、何でそんな事をするんですか?」
「だってぇっ!そっちの方がぉわぁっ!面白っ!いじゃないですかっ!」

質問をして答えている最中に容赦無く射撃。友達の友達に対しては非道な感じもするが、実際はもっと深い仲である為問題無し、多分。
それに答えながらしっかりと避けて居る。獣人寄りの軽い身のこなしでとても楽しそうに。リスクジャンキーだからか時々明らかに頬を掠めたり、弾丸に服を擦めさせたりしているのは意図的か。やはり厄介。
当てられない、下手をしたらトキザが帰って来てしまう、だったら同じ立場に自ら、しかない。連射を続けながら急下降。ハスケイヴと頭二つ離れた程度の高さにまで。『眼』の心配は要らない。
即座に集中、ハスケイヴの動作の先読みを開始する。身体の浮遊感すら感じなくなって自分の世界からは音が無くなってしまう。時間の流れすらごくごく緩慢な物に。その分頭が高速で回っているからなのだけれど。
このままだとハスケイヴは、一旦自分に背を向けて、豪快な宙返りをしながら膝を頭に叩き込むつもりの様だ。着地の事に関しては多分考えてはいない。ガラス箱はハスケイヴを越えなければ手に入らない。自分の体勢は地面に対しほぼ水平である。
緩やかに上昇して、着弾点をずらす。膝が顔面に埋まるのは流石に宜しくない。そして両腕で顔を覆って防御体勢。これで両脛が腕にぶつかり自分の負傷は軽減、ハスケイヴは気の毒ながら頭から地面に落ちてしまう、幸運を祈る。

「っ」

脛も鍛えていたのか相当に硬かったが膝や爪先よりかはずっとましだ。このままハスケイヴは最悪首の骨を折る事になるがその辺りは幸運を祈っていた所で、肩口に足の甲が引っ掛かってしまって。

「あれぇ?」
「…………」

ハスケイヴごと空を飛んでいたが気にしてはいけない、そのまま急降下してガラス箱をどうにか、脚が首に絡み付く。何で空中でこんな事を。

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