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迎撃は非道なれど愉快あるもの
「…ってサイ!上から…何かがっ」

確かに上空から何か影が落ちてきた、と思っていたら爆音と衝撃とで足元が揺れる。マフラー起動、微妙に浮きながら捕集器を作動させて何事かを確認、埃が舞い散りやっと感知魔法が作動して騒がしくなるがもう遅い。

「ハロー!そしてぇ」
「グッドバイ!」
「うわぁっ!?」

またも衝撃が当たりを揺らす。今度は壁が内側から突き破られた。相手方の姿を確認。確かに片方は臀部から尻尾を伸ばした見た目は人間のハスケイヴ=ロウンスナンバー。
もう片方はやっぱり彼だ。トキザ=タクテア。頭に被った防具とゴーグルとで顔は隠れてしまっているが。魔動式の二輪駆動車。トキザの手によって相当な改造が施されているのだろう。前部に壁を突き破る為か重たそうな角の様な巨大な部品を着けていて。
あっという間に屋敷が見えなくなってしまった、追い付いているのは自分一人。ロッシュは落ちて居ない事を願う。
さらに自分は加速、二人と並ぶ。普通は荷物などを載せる筈だが後部に座っているハスケイヴが此方の存在に気付いていて。ポケットから取り出した紙袋を開き、風圧で膨らませる。トキザがこっちを向いて。

「やぁサイ!」
「やぁ、そして」

さようならと頭の中で呟きながらトキザの頭に袋を被せ、操作用のハンドルを軽く蹴ってみた。これが今の自分の精一杯だ、万が一にも死なないだろうからここは頑張ってみた。

「あれー?」

最後は、もしかしたら最期なのかもしれないが駆動車はバランスを崩して呆気なく吹き飛んでしまった。紙袋を被ったままのトキザと宝石盤入りのガラス箱を持ったままのハスケイヴごと。
どぐしゃあだとかがごんがごんだとか盛大な破壊音を立てながら駆動車は崩壊しながら吹き飛び続け、最終的にはトキザを巻き込んで爆発した。まあ久し振りの挨拶としてはやり過ぎては居ないだろう。多分。

「…ちょーっと待ったぁっ!貴方正気ですか!狂気ですか!大いにアリには違いないですけどぉ!」
「…………」

ハスケイヴの手には未だに宝石盤が。あの勢いの最中でしっかりと持ったまま離さず、とてもとても楽しそうに自分を見上げている。今のは楽しかった様で何より。

「こうなったらボクも頑張りますよお!愉しませてやって下さいぃっ!!」
「…………」

ああ、自分に全力を出して欲しいのだろうか。ならば、全力で。

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あきゅろす。
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