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思考は容易なれど頓狂は有る物
理由を今しがた結界を張るのに忙しい二人に伝えたいが、直接教えたとしてもう知っていたとしたらロッシュがいよいよ凹んで戻らないかもしれない、故にトデアリプトさんに伝言を頼む。
快く引き受けてくれた。今さら隠す必要も無かったか自分達には秘密を明かしたかったのだろうか、彼の情報は新入り過ぎるからか乗っていなかったが何にせよこれで良し。再び別れて探そうと。

「…ていうかさ、抜け穴になりそうな場所を探せってあんまりやる事無さそうな気もするんだけど……」
「普通だったら予告状を送るなんて有り得ない。何処かに細工をして絶対盗める様にしているのかもしれない、抜け穴とか壁を破り易くしているとか」
「…二人じゃ足りなくない?」
「見た限りでは使用人も探しているみたいだから…だけど僕が思うに何もしていないと思う。一発勝負で盗むと」
「えっ」

驚いたロッシュを尻目に頭の中で情報を整理する。理論を組み上げる。ハスケイヴ=ロウンスナンバーの趣向から見た彼の組み上げる作戦、方法を乗っ取って、
彼ならどうするか。どうやってハスケイヴを納得させるか。予告状を送った故の自分達含めての厳重な警備。相当なリスクを伴った上で奪い取れる可能性の高さを両立した方法。
彼の持論の二本柱は至って単純であり変化は間違い無くしていない筈だ。物事は可能な限り精密に仕上げるべし、そして机上の空論は何一つ存在せず起こりうるかもしれないなら絶対起こる。
自分達が情報を得ているのなら向こう側も得ている。規模からしても、だ。武道大会の結果から警戒し大人数で当たるべしと言葉が有る。しかし彼は自分に気付いて彼とハスケイヴとの二人で挑む。多分は。

「…ロッシュ、君の射出機の射程はどのくらい?」
「えっ?詳しくは知らないけど、見える範囲なら…っていうか基本僕が近付いて撃つからね…ごめん」
「それなら、ライフル銃なんか取り扱った事は?」
「…まさか僕に狙撃をしろっていうの?」
「出来る?」
「…とーぜんっ!元々教えられたのはライフルからだもんねっ!」

それならば問題は無い、使えなかったならば自分が完全にロッシュの雄株を奪ってしまう所だった。それにしても彼は本当に敵に回すと厄介な存在だ。
自分がこう思っていると言う事は、つまり彼もこう考えているだろうけども。シゼルニーは何処であのクッキーを作る事が出来たか。それもやはり。
普通よりも、昔考えていた時よりかは愉快な再会になるのは確かである。

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