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性質は安定なれど損得あるもの
精神面の軋みが有るなら依頼に弊害が出るかもしれない。そうしたら玉虫宝石盤が盗まれてしまうかもしれない。そうなったら大問題だ。こうなったら実際に尋ねて聞くしかないだろう。
家族と談笑中だったトデアリプトさんに、幾らかの時間を貰って問いただしてみた。疑問が有るとその分頭の中で使える容量が減って迅速な対応が出来なくなると尤もな理由を付けて。

「ふむふむ…その論理の信憑性はともかくとして、理は其方に有るのは間違いないですね…父さん、話しても宜しいでしょうか」
「駄目だ、ここは私が」
「…トリアデプトさんより話を良く知ってるって訳では無さそうですが」
「こう言うのは年長者の仕事ですから。ええ、確かに後ろめたい点があの宝石盤には存在しましてね…」

聞いた話を纏めるとこういう事らしい。あの宝石盤はとある遺跡から発掘され、オークションで買い取った上で鑑定士の元嘘偽り無い本物である事が数年前発覚した。
買った年までは経営状況は上がり下がりを繰り返していたがこの時から緩やかな上昇を今まで続ける様になったらしい。宝石の力か思い込みかは知らないが、はっきり言い切れる相手は居ないと思う。
そして手に入れてから一年と五ヶ月後。一品物だと遺跡に残された碑文に記されてあったが二枚目の宝石盤が発見されてしまった。そのまま美術館へと直送。

「貴方達なら、どう思いますか?」
「偽物と考えて、でも今まで助かってきたのだから寄贈はしない。とは言え本物を持ってると公にしたら周りが五月蝿くなる。となれば無視を貫き通します」
「この後輩と大体同じ意見です」

ロッシュの言葉に便乗されたと思ったがその通りですよ、と返してくれた。グリッドマン家は本物の宝石盤を持っていると完全に隠蔽したのである。
しかし、由緒正しい鑑定士によって美術館側の宝石盤も紛れも無く本物だと認定されてしまったらしい。何回か面識も有るため彼が嘘を付いたとは考え難いとも。
そして疑問を持ちながら凡そ半年前の事。宝石盤を所持している事が流出。犯人は言うまでもないと言ったので彼で十中八九間違いないとする。

「それで最近やっと落ち着いた…いやまあ別件で五月蝿くはなりましたけど…それでこの予告状が届いた訳です」
「……裁判とかで直接対決したりとかは…」
「最悪、歴史すら覆るから…そのくらいの代物だからだよ」
「あぁぅ……」

二枚有ると認められたら、それ以上存在すると考え、無謀な宝探し屋等ががむしゃらに掘ってしまうかもしれない。そして外れ籤を引く。出られなくなったり別物を引き当てたり。それを見越したのだろう。

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