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常識は鉄板なれど例外は有るもの
去って行ったのを見届け、手渡された紙袋をどう処理するのか少し迷う。見付かったとしたらロッシュだとしても怒るに違いない。無闇に貰った物を食べるのは危険だと、若しくは何で残してくれなかったんだ、と。
牙で焼き捨ててしまおうかと思ったが天井には煙か熱かを感知する機材とその反応に応じて水を噴き出す、スプリンクラーが取り付けられている。迂闊に作動させたら大変な事になる。特にアストレスタに弱みを握られるのは御免で。

「…………」

どうせ出来るのだから消し去ってしまおうかなとも考えたがここは至って単純に折り畳んでポケットの中に収めた。膨らみを目立たなくする為に上から押し付けて抹消完了。
そして調査再開。屋敷には予め侵入者感知魔法が掛けられており、常駐されているのと合わせて数十人の警備兵が雇われていて。それでも不安だから自分達に依頼が来た。こういった用意は過剰な程が丁度いい。

「…サイー!この家予告状が来た時情報屋に依頼してて、今調べ終わって資料が届いた!」
「そう…で、また集合が掛かったの?」
「何十枚か刷ってるから任意で見ろってさ…で、コレがその資料」

ロッシュが元気良く子供らしく駆けて来た。手元の資料には「absolute-hexagon第五支店について」、と名前が振られて居る。
突入されそうな箇所を探すよりかは有意義な時間なのだろう。早速ロッシュの隣に寄り添い、二人して資料を読み解く事にした。

・本店、その他支店には存在する物が一切無く、存在しない物が揃っている。簡単に言うならば常識が無い
・そもそも外見からおかしい。六割程キウイに侵食されて居る
・特に支店のエースであるハスケイヴ=ロウンスナンバー(珍しい人間と猫人とのハーフ。尻尾はあるが耳は人間で両腕に猫っ毛が生えて居る)がリスクジャンキーであり、例え人質を取られていても籠城先に全力正面突破
・体長十数メートル強の魔物相手にも
・酒はラッパ飲み以外の選択肢を持ってない
・実力と突飛さが合わさり常識的な防衛は全く無意味だと推測可能
・最近人間が新入りとして入ったが参謀役を任されて居るらしい。前述のハスケイヴをコントロールして最早突貫力なら世界一と認定しても良いぐらい
・頑張れ

「………何か、本当に僕達守れるのかな…?」
「大丈夫だよロッシュ、報酬は八割前払いされてるから十分だ」
「そもそも、なんで堂々と便利屋が泥棒行為なんかする訳?」
「…普通の泥棒行為なら憲兵に通報してただろうけど…生々しい理由だと思う、触れないのが一番だ」

納得はしてくれなかったようで、ロッシュは不満げな表情を浮かべていた。

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