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食卓は忘却有りて楽しむもの
「いやぁ、すいませんね…弟は甘やかされて育てられた物ですから」
「いえ、甘く見られるのは慣れてますから」
「……正直アイツの罵詈雑言は無視して下さい。いつしか悪口の一字一句を全て後悔させるレベルでの矯正を予定して居ますので」
「…………」

何であれ自分達とは住んでいる世界が違うなと思い、これ以上の事には触れない様にする。アストレスタの兄、トデアリプト=グリッドマンさんの後をついて行くと其処には食堂が。
長々としたテーブルにこれまた大量の長椅子が並べられた広大な食卓には、自分達以外は既に全員揃っていた様だ。自分が座って、トデアリプトさんが向かい側の席に座り終え、アストレスタがぶつぶつと呟きながらトデアリプトさんの隣に。ナプキンを首に巻きながら、食事の用意をする。
隣のロッシュは緊張してはいなかった。経験があるのかどうかは知らないが待つ姿は何と無く威厳を感じるが、それを指摘したら緩んでしまうのだろう。アケミチさんとエンフィさんもまた同じく。向かいのグリッドマン家も一部を除いてマナーは弁えられているらしい。
その一部に関してはやたらと金属質な器具を着けられていた。腕の部分にバネが組み込まれており、食べるのに難儀しそうになっている。

「…さて、難しい話は食後にでも。各地の珍味を食べて貰おうかなと思いましたが、やはり一般的な各地のご馳走を用意しましたので」
「その前に質問です、彼は一体何をしたのですか?」
「食事マナー矯正マッシーンです。さて、まずは新鮮なサラダでもどうぞ」

サラダと聞いて、アケミチさん以外が瞳を輝かせた。




「大変美味しゅう御座いました…それで、わざわざ予告状を届けるとは一体?」
「それは良かった…やはり自信が有るのでしょうか、それともブラフか…これがその予告状です…」
「ぬぐぐぐっ…バネがこの前よりキツイぞこれっ!」

デザートのレアチーズケーキを食べ終えて依頼の話へと。エンフィさんと話しているグリッドマン家の家主、イエスタンド=グリッドマンが命じ、自分達の前に届いたらしい予告状が差し出される。

『前略 貴方様方の経営している水産運輸会社はエピソードを聞いて改めて物凄いなぁと思った今日この頃、女絡みで檻の中にぶち込まれた息子様はお元気でしょうか。まあそれはそれとして……の……時に「玉虫宝石盤」を奪いたいのでご挨拶。奪う際の多少の被害にはアフターケアをご約束致しますのでご安心くださいませ absolute hexagon五号支店』

随分とファンシーな花柄の、少女趣味な便箋に糸の様な細い達筆で書かれていた。この筆跡には、見覚えがある。

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