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世界は莫大ながら隣接するもの
世界は広いとは良く言ったものだ。自分の中の常識が全くもって通用しない場面がこの世の中には溢れている。
世界は狭いとは良く言ったものだ。自分の知っている相手が、若しくは方法が自分の知らない遠くの場所でも使われている。

「再戦だぞサイ=スロード!今度こそやと…僕個人の力で貴様に勝ってみせるっ!」
「お断りします」
「はーっはっは!それならばこの戦い僕の不戦勝だな!」

常識の通じない相手が近くに居て、しかも自分の知人で因縁を持っている。これは世界は狭いのか広いのかどう言えば良いのだろうか。関わらないのが一番だとは解っているのだけれど。
所長目当てでファンクラブだとか飛び込んできた相手達をフーガさんにより撃退したり、引っ切り無しに通信機が鳴り響いて二回識別信号を変えたりと慌ただしい日々も過ぎようとして居た頃、久々に依頼を受けた。
何でも便利屋から予告状が届いたので、その護衛に当たって欲しいとの事。こうして自分含めたチームが依頼人の御屋敷に招かれた訳で有る。その名前はグリッドマン家。水産業で大層な資産を物にしながら一部を除いて寄付などを惜しまない、一部を除いて評判も上々なセレブで有る。

「これでハノンは僕が貰っていいんだなっ!」
「それは僕が決めるのではなくハノンが決める事です」
「……何いっ!?貴様を倒したら屈してくれるのではないのかっ!?」

そして丁度今自分に突っかかって居るのがその除かれた一部の人間であるらしい、アストレスタ=グリッドマン。以前捕まっていたが保釈金を積んで無事に釈放されたらしい。
何日かは絞られて反省したのかと思いきや数日で人はそんなに変わる筈も無く。相変わらずごてごてとした宝飾品と高級な衣服に身を包んで自分に今も尚指差して居る。感じからするに恨みも含めて前より質が悪くなった。

「……おいっ!無視をするなっ!」
「いいえ、無視では無く意図的です」
「そうか、それなら…良くないだろうがぁっ!」

愉快な会話をして居る最中、アケミチさんが自分達を呼ぶ声が。廊下で時たま通り掛かる使用人に見られながらの会話は無事に切り上げられるらしい。食事の準備が出来たのだろう。

「貴様にはキャベツの切れ端しかやら」

未だに自分を罵倒して居る、アストレスタの右頬に靴裏が突き刺さった。鈍い音と共に吹き飛んで行く。アケミチさんの隣に見えた人間が、走り助走を付けそのまま蹴りを放っていた。見事である。

[ネクスト#]

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