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友情豊富「結果発表」
「…………やあ、一体どうしたのかな、ウサギ君」
『はははは、一体どうしたのかって?まさか僕に君がしでかした事を忘れたとでもほざくつもり?』
「ああ、何時かどうにかしようかなとは思ってたけど、情報屋の仕事が忙しい時尋ねるのは失礼かなと思って」

蜻蛉の様に固まった魔力が、自分の部屋の窓を叩いてきたので迎えてみたらこの通りだった。ウサギ君の扱う魔法。此方の様子も見えているし、声も聞こえているらしく。
喋りながらコインを弾いて手の甲に乗せる。手を開いてコインの裏表を確かめる。もう一度。もう一度。何百回とは程遠いけれども、確かめられずには居られないから。

『どうしたもこうしたも無いよ!僕今何やらされてると思う?さあ言ってみなよ!』
「…あの光景を見られたって事は、公衆トイレの代役かな」
『そんなお仕事有るけどなってたまるか!便利屋だよ晴れて便利屋!君と同業!しかも全くの異国の地で!』

怒りを表している様にトンボが忙しなく自室の中で動き回っている。顔は自分に向けたまま。何か仕込んでそうなので触る気すら起きないが時折髪を掠めて来るのは嫌がらせに違いない。
コイントスは順調に続行中。後十何回かで二百回目である。当然全部表が出たなんてそんな事は有り得なかった。所詮幾ら全能感に塗れて居ようが自分はこの程度なのだろう。

「新規開拓の精神でいけば良いと思うよ、頑張れウサギ君」
『パラフィン並みに薄い励ましの言葉は要らないんだよね!誠意を!是非とも誠意が欲しいんだよこっちは!』
「…何か奢って欲しいんだよね、それなりに覚悟はあるから」
『よくぞ言ってくれました!食事宜しくね』
「日取りは?」
『空いたら連絡する』
「場所は」
『任せる』
「中身は」
『任せる。果たして君のセンスは僕を満足させられるかな?それじゃ!』

相当な無茶ぶりを残して、蜻蛉は消えてしまった。久し振りにラーツも含め三人友達同士で仲良くやれるのだろうか。保護者が必要だからと誰かを引き連れて来る可能性は多いに存在する。
そして自分は何でも出来はしなかった。二百回中二百回連続で表は出る筈も無い。解っては居たけれど改めて確認する事は大事である。やってから初めて解る事も有るのだから。

「…………」

結果は二百回中、表が出た回数は総計ゼロ。確かに表は出なかったが、代わりに裏が二百回連続で出てしまっていた。
全能感は、頭から全く消えていない。それにあながち、嘘も含まれていなさそうである。

【第二十二巻 終】

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