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帰宅後は暖かくて
料理の味はどれもこれも絶品だ。
さっぱり系とリクエストして正解だった。
お陰で幾らでも食べられる気がする。
……もう少し入るかな。


「……ハハハ、部屋の中を瑠璃色の魚群が飛び回っているー…」

最初に所長が壊れた。
謎めいた言葉が口から溢れ、眼の焦点がぼんやりと。
服がだらしなくはだけて、細身ながら筋肉を纏った胸をチラチラ露出させている。
しっかりと酒瓶を抱えて、床に寝転ぶ。寝る気か。

「相変わらず所長は……ま、明日どうせ休みだからな…」
レザラクさんがそれを見て笑う。酒を舐めるように少しずつ飲みながら、尚も料理を摘んでいる。

「ふむーっ……くぅっ……」
すでにロッシュは撃沈済。カウンターを枕代わりにして、寝息を立てている。
正直、かなり…ふかふかしていると言うか、もふもふと言うか

「へへへっ♪」
背後から抱きつかれる感触。太い両腕が胸に回され、ガッチリと固定される、
体毛は橙色と黒の縞模様がその腕に並んで
縞模様の手には鋭い爪が
自分の力では到底抜けられない
抵抗しようにも出来ない抵抗できない大人しく受け入れるしか
……………

「…ヤクト、堂々とセクハラすんじゃねぇ……」
自分に回されていた手が別の手により離された。
「何だ何だぁ?タチの悪い酔っ払いがいるみてぇな顔して」
「ほれ酒だ。まずは飲め飲め。」
「おっ!気が利くねぇ♪」
「…………」
「…大丈夫か?」

………あ。レザラクさんとヤクトさんだったのか。
一瞬何も解らなかったし、解ろうともしなかった。
ただ、目の前から真っ白になっていくように。





「…………」
自分は割り当てられた部屋の中に、備え付けのベッドで横になっている。
「所長も寝ちゃったし、後片付けに入るか。…サイ君は部屋でもう寝なさい。」
……そう、フーガさんに言われた。だから自分はここで寝ようとしている。
スプリングはだれてない、枕の感触も上々、布団は掛けると寒さを感じない。


でも、眠れない。強いて言えば先程眠れなくなった。
酒場での蚯蚓腫れがまた疼いて。うつ伏せでも仰向けでも関係無くて。

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あきゅろす。
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