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寝台糾弾「偏向一致」
元々ニンジャだから音も無く入ってくる事は簡単に出来るに違いないが、通常の入り口から入って来たとは考えにくい。ならば何処からどうやって入って来たのか。
出入り口が一つしか存在しない皿自分が気付かない訳が無い、となれば仮設が間違っているのか。

「客室に隠し扉が備え付けられているなんて、斬新とは思いますが利便性はあるんですか」
「有るから此処に来たんだ。誰にも気付かれずに客に夜這いを掛けたい時等…頗る素晴らしい造りだと思っているが…?」

目を見て言葉を聞いて今アケミチさんがやろうとしている事が理解出来たのが。豊富な経験からだろうが何処にも褒められないし自慢は不可能な物だ。
銃を撃っては流石にまずい。ニンジャ達を敵に回しては到底自分は生き残れない。もしかしたら生き残れるかもしれないが分の悪い賭けを今やる時じゃない。
アケミチさんが自分の隣に腰を下ろして頭を撫でてくる。見上げずに視線だけを目を動かして向けてみる。首を動かし見上げてみたらどうなるかも、経験済みでは有るから。

「別に断る理由も有る訳では無いのですが、受け入れる理由も今の所存在しないのですが」
「悪いが昔から元々そういうもんだったんでな。抱きたいからこんな風に忍び込むし、抱かれる側が何も言えなくなるまで抱けば問題は無くなるんだ…」
「………ロッシュからの勧めで、常に枕の下に銃を入れてありますが、仮に襲ったらどうなるかの覚悟は有るんですか」

既に左手は枕の下に埋まって、グリップを握り締めている。撃とうと思えば好きに撃てる。仲間と言えど自衛はあっち側に問題が有る筈だ。多分。

「……正直、爺さんが機械を使ってたと分かって残念だった。しかもダイレクト過ぎるあの物言い。宴会の席でも聞こえたぜ、『腕は良いけど…』ってな。何と無く分かったが俺を見下して居た。お前はともかくな。だけど今は居ない。つまりは」
「唯一この屋敷に残っている彼の友人である僕への鬱憤晴らしですか、その件については申し訳有りませんが言葉では無く誠意が欲しいんですよね…」
「……中々悲しいもんだよな。お前がそんなに理解が早いって事は、結構経験積んでるからか…」

現実とは厳しい物だ。アケミチさんが虚しさを感じるのも、自分が断わる理由が無くなってしまった事も。この後直ぐに味わえるでたろう感覚だけが唯一の救い、だろうか。
握った銃を遠くに放り捨て、素直に顔を見上げた。既に伊達だと豪語していた眼鏡を外していて、微妙な表情ではあるが興奮はしているらしい。何もされていないが、自分も。身体は正直とは良く言ったものだ。

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