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技術時間「夜間襲撃」
機材を分解して、配線を剥き出しにする。奇術やニンジュツとは掛け離れた中身を見ながら型番を調べ、電器屋で発見した真新しい配線を一ロール単位で入手。趣味だからとレンカさんが全額出してくれた。
その他にも大量のドライバーやニッパーを同時に買い込んでいたが趣味に使うのか仕事に使うのか。恐らくは両方だ。この国は産業が盛んなのもあって相当な種類の部品や機器が売ってある。レンカさんは煌びやかな物を見つめる子供と同じ眼をしていて。
間接的にシューゴやその部下達の気苦労が理解出来た。土産物にしては金属的にも程が有る。丸二日は豪遊出来る金額を今日一日で使っている。この後が本番な筈だが。

「いやぁ良い買い物をしたわね!サイ君、この後何か食べないかしら?」
「貴女達に協力してくれと言う話になるならお断りします」
「あらら…お見通しって訳ねぇ…シューゴ君から聞いた話は嘘じゃなかったんだぁ…」
「…因みに、どんな事を言ってましたか?」
「指先で触ったら肩口までキレる様な子とか何考えてるのか全く分からない一番危険な存在とか…あ、盛ってないからね?他には絶対的なネコか圧倒的なタチかの二択だって」
「…………」

本人を目の前にしては中々話せない事を他人に話す。その行為については誰しもがやっている事なのであまり咎める気は起きない。適当な予想含めて話したのだろうが程々に的中すらしている。
殴り飛ばした仕返しか自分はシューゴに反論出来ない。気にしなければ良いのだがレンカさんは裏を含んだ上で微笑んでいる。

「…で、実際の所どうな」
「何か食べましょう、この国の食べ物を食べないのは損だと思います」

閉口が一番、論点をずらすのが二番。微妙な時間帯だが仕方無い。





何をどう思って魚型の菓子が作られたのか考えながら客室に敷かれた布団に横になる。まだクロボクに勝ち取ったのだと宴会の騒がしさは僅かに響いていて。
懐かしい感触だ。後は手頃な本に絵具の匂いがあれば完ぺきだがそこまでは求められない。あくまで自分は便乗者だから。御馳走も風呂も貰って後は翌日レンカさんから結果を聞いて帰るだけだ。
となれば今は眠るだけ、なのだがどうにも眠れそうでは無い。枕が合わないのではなく、布団が重たい訳でも無く。

「……クロボクに勝てば速度宴会…あんまり変わってなくて安心したが、何分騒がしいのがな…」
「宴会ですからね」

何故かこの場に、アケミチさんが立っているのだから。

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あきゅろす。
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