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現場対話「極上逸材」
特に何の達成感も無いまま使用人らしき手足の短い犬人に再度呼び出され、言われる通りに後をついて行く事に。馬鹿に大きいとばかり思っていたが、良く見ると隔てる塀が存在しないだけで二つに分かれていて。
何で塀が無いんですかとシューゴ尋ねたら少しでも人材を減らす為万が一境界線を超えたら撃滅が許可されているんですよはははと自嘲ぎみに笑いながら答えてくれた。シューゴは笑えていない。
昔はお互い仲が良かったからこそ、屋敷は近くて塀は無かったのだろう。或いは敵同士を敢えて近くに住まわせる事で力量の増加を図ったか。相当殺伐としている。恨み云々も根強い物となるだろう。

「…それにしても貴方の友達も相当無鉄砲な者ですね。クロボクに喧嘩を売るとは…今は世界の広さ、そしてクロバの強さを知っている事でしょうに」
「……言っておきますけど、僕はラーツが無鉄砲だとは一度たりとも思った事がありません」
「ほう?全て彼の頭の中で計算された事だと?その様な驕りもクロバ流に入門為れば直ぐ様自信へと換わり……」

通された部屋はさっきと同じくタタミが床に敷き詰められていて。しかし清々しい様な青臭い匂いは漂わず足元から伝わる感触は柔らかく。壁にはヌンチャクだったりトンファーだったりが掛けられている。此処が鍛錬場に違いない。
ラーツは元気だった。アケミチさんの片脚を持って全力で壁に叩き付けようとしている。しかも顔面から。アケミチさんも負けては居らず片手で壁をかなり豪快な音を立てて衝突を回避。反動で思い切りラーツの上で身体が反り勢いのまま脚を首に絡み付かせようとしたが既にラーツは解放し、バク転しながら距離を取って。犬人の口が開いたまま閉じないが、飲み込めきれないのか。

「……そこまで!力量は多いに有り!」
「えー、まだウォームアップじゃないの?」
「……マジか、コイツ…」

脇には恐らくラーツに揉まれ倒された相手が転がっている。泡を吹きながら。完全に気を失っていた。アケミチさんすら有り得ないような者を見る目でラーツを見ていて。相変わらずだ。
機器を戻された人形がザブトン上に鎮座し、その脇には楽しそうに拍手を送るレンカさんが。秘密を知っているからこその楽しさも混ざっているのだろう。

『…うむっ!向こう側は了承してくれたぞい!ここまでの腕なら文句も有るまい…儂も楽しみになってきたわい…』
「……ふふっ」

レンカさんが笑い掛けてきた。それ以上に何年前から機材を使用してたか解るのが待ち遠しいのだろう。

「威厳ある…切磋琢磨…暗躍してきた…」
「ダイジョーブダイジョーブ、みんなニンジャ大好きだから。ネ?」

肩を落とした犬人が、シューゴに慰められていた。思い切り背後で笑っているが。

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