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適材人材御呼び出し
そうは言っても先ずはどうしたら良いか慎重に行動する必要がある。大臣の息子まで手を出しているのだから相当に質が悪い。両方が。
下手を打ったら此所も呆気無く更地になってしまうだろう。やはり誰かに明け渡した方が良い様な気がする。

「……あのっ…故郷に居た時に仲良くして貰ってた人が憲兵やってるんすけど…」
「ふむ、彼と連絡は付きますか?大臣の勅命で今まさに貴方を探している可能性も有りますが」
「…ボナさん…どうやら俺はここまでの様です……」
「……………」

彼女にはもう借りを作りたくは無いが、背に腹は換えられない。ボナ。ボナッシュ。もしかしなくても彼の事だろう。そうと決まれば少し経由して、それで。
考えながらも自室に向かう。エンフィさんが声を掛けたが今は少し忙しい。一応自分に宛てられた手紙は全て保存してある。その中に入っていた返信用の一枚の紙。
簡潔に『今直ぐボナッシュ=ギミエ或いはハノン=アンロスに此方に来てくる様助言願います』と。出来上がった手紙を折って折って切手を貼って。

「すいません、ちよっと手紙を送ってきます」
「何!?タレコミ?タレコミっすか?」
「違います」

喚くジャッカル人に返答を返して、手紙を出しに向かう。短時間の外出ながら銃は忘れない。無いよりかは有った方が余程良い。
速達を選んだ。これで上手くいったならば連絡が届く筈だ。ジャッカル人の知人か自分の知人かならどちらが良いだろうか。
どちらにせよ憲兵としてではなく自分達の助っ人として駆け付けてきてくれる事を祈る。



翌日。ジャッカル人と共に愉快な朝食。エンフィさんと同じ部屋で夜を過ごしていたらしいがやはり食が進んでいない。
初見でローライズのビキニパンツ一枚の料理人が眼前に居るのでは確かにそうだろうな、と改めて思った。自分もその格好にすっかり慣れてしまったな、とも思って。
此方の姿をちらちらと見ている。確かに自分は朝っぱらから昨日は着けていなかったマフラーを巻いているのだから嫌でも目に付くだろう。これもジャッカル人の為だ。いざ捕まえに来た場合に直ぐ様逃げられる様に、

「………!お、俺隠れた方が良いっすか?」
「音を立てない様にして下さいよ」

先日と同じく扉のノック音。彼が食べ易い様に作られたサンドイッチ片手に二回の所長室へ逃げていき、フーガさんが皿を回収しエンフィさんが椅子の位置を正し終わるのを見計らい自分が応対した。其所には、
確かに、長い金髪に普段着をしたハノンに雨に濡れた様な毛色をしたボナッシュさんに、赤毛の大きめな胸をした狼人。何故此所にレンカさんが居るのだろうか。

「……随分と、久し振りだな。君に対する借りを返すのは今だと思ってな………」

そして、もう一人。蒼色の鱗をした蜥蜴人が真ん前に立っていた。

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あきゅろす。
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