対戦は非王道的な
「ハッ!チーム『reval』の名を知らねえとは、飛んだお笑い草だぜ!」
「…その名前なら知ってる、虫退治の専門家でしょ。」
「違うっ!どうやらお仕置きが必要なようだなあ…」
ロッシュの挑発で犬人の語調が更に荒く、悪くなっている。
このままだと血、涎、その他諸々の体液を見るハメになるかもしれない。
「チビ共、大人の怖さをたっぷり教えてやるよ!」
「新人の前だ…返り討ちにしてやるさ。」
「上等だオラァッ!」
お互い白熱している。これは、……飛び散るのかな。色々。
「さぁー始まりました、『drop-egg』内、飲み比べ決闘っ!」
「イヤッホォォォォゥ!」
マスターは何でこんなにハイテンションなのだろう。
客のテンションもおかしい。
「ルール説明!酒を多く飲んだ方の勝ち!潰れたら負け!
参加するメンバーは入れ替わり可!
多い方が少ない方に合わせる!時間制限無し!」
……つまり相手が潰れる量を此方が潰れずに飲めば勝ち。潰れたら負け。
「敗者には決闘で飲んだ分の酒代を全額支払ってもらいます!」
「……ロッシュ、僕あまりお金持ってないんだけど」
「…はい、そこの君も大丈夫!お金が足りなかった場合は、…体で払って貰います!」
「フゥゥゥゥッ!!」
……余計に負ける訳にはいかなくなった。火事場の馬鹿力、土壇場、背水の陣…
「今回使用する酒はこちら!飲みやすさと喉ごしに定評があります!」
ジョッキ一杯分の酒がどんとカウンターに置かれる。
見ていないから解らないが音から隣にも置かれたのだろう。
「サイ、先輩の勇姿をしっかり見てな。」
「タダ酒かっ食らえてデザートまで付くとは、至れり尽くせりだな!」
にしても蜥蜴人と牛人が喋らない。
「それでは、用意!」
マスターがゴングを構える。
「……始めぃっ!」
戦いの始まりを合図する金属音。ほぼ同時に、ロッシュがジョッキを高々と上げ、
中の液体を喉を鳴らして飲み始める。薄く色のついた酒が、瞬く間にロッシュの胃袋へと
「プハァッ!マスター、次だ次っ!」
もう向こうは一杯分飲み終えてしまったのか。
「んぐぐっ…ごくっ……ぷはっ」
「ぷへぇっ…!マスター、次っ!」
こちらが一杯目を飲み干した時、相手は三杯目に。
これは勝てない。
貞操の危機が刻一刻と。
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